
とある病院で、救急隊が身寄りのない68歳の女性を搬送してきました。
1日4回のヘルパーさん、看護師、往診など利用できるサービスを使って生活保護を受けながら、寝たきりでお一人で生活していたとのこと。
調子が悪いことに気が付いたヘルパーさんが、看護師さんに連絡してくれて救急車を呼びました。往診の先生が対応できる状態ではなかったからです。
診察した先生は、看護師さんや往診している先生の事を「何も見ていない、困った時だけ病院に来る。」
「こんなにひどくなるまで放っておいて!無責任にもほどがある!!」
とご立腹。
68歳の女性には弟様がいました。連絡がつかず、疎遠。
体調が大変悪い中、入院できるかどうかも分からず、数時間ストレッチャーで寝かされ、役所の方と折り合いをつけて、入院することになりました。
在宅生活の中で、最期をどのように迎えるのか。周囲で支援する人たちは、どのように看取るのかしっかりと話し合っておく必要があります。
入院しても積極的な治療をしないのであれば、病院は死を迎える場所になります。
自宅で最期を迎えるのか、病院で迎えるのか。死の直前になって、動揺し、
判断できないのが普通です。大切なご家族の最期なので当然です。
専門職はご家族様に「何もしない勇気」「そのままじっとそばにいる強さ」を持てるようにお手伝いすることも大事なのではないかと考えています。
瀕死の状態にあった人を病院に搬送した結果、自宅に戻れず病院のベッド上で半年過ごさせてしまった経験からそう思うのかもしれません。
「真っ赤なおしっこが出た!」「呼んでも返事をしない」本当に最期が近いその時、育ててくれたことや、一緒に過ごした時間に感謝してそこにいられるかどうか。
暖かい最期を提供できる専門職でありたいと思った一幕でした。




