家族の介護保険無理解はサービス低下をまねく

 働いている時間は週に2時間だけですが、13年ほど訪問介護をしています。家庭環境も家族も本人もさまざまなので、その都度いろいろな疑問が湧いてきます。最近、直面したのは、介護保険に対して家族がまったく理解していないという事例です。

 今年100歳を迎えた女性Aさんは、どういう事情なのかはわかりませんが、甥2人の家で暮らしています。Aさんは一日のほとんどをベッドの上で過ごしていますが、3度の食事のときだけは車椅子移乗して食事を摂ります。ヘルパーの仕事は、水分補給、おむつ交換、車椅子移乗、食事の支度、口腔ケア・洗面、シーツ類やパジャマの交換と洗濯・洗濯物干し、デイサービスの送り出しなど。1時間という限られた時間にサービス内容を盛り込みすぎているため、どのヘルパーも時間が足りないのが現状です。

 私が特に気になっているのは食事です。Aさんは、一切介助しなくても自分で食べられるのですが、とにかく食べるスピードが遅い。なんといっても100歳ですから当然のことですが、ときどき介助しないと時間内に食べ終えることはできません。これって自立支援の観点からいうと絶対に間違っています。でも、ゆっくり食べてほしくても、食べ終わったら食器を洗って片づけて、口腔ケアと洗面もしなければなりません。洗面で使ったタオルも洗濯しなければならないので、それまでは洗濯機を回すこともできません。

 こういう事態になっているそもそもの原因は、契約時に同居家族である甥2人が「ヘルパーはなんでもしてくれる」と解釈してしまったことにあります。そのため、訪問介護計画書には至れり尽くせりのサービス内容が記載されることになり、甥2人はリタイアして家にいるにも関わらず、一切介護から手を引いてしまっています。これは、甥2人に説明をきっちりして理解してもらうことを怠ったケアマネやサ責にも大いに原因があります。むしろ甥2人より罪が重いでしょう。先日、甥2人への再度の説明とケアプラン・訪問介護計画書の見直しを提案してきたのですが、さて、どうなることやら。この状況がサービスの質の低下につながることに、どうして誰も気づかないのでしょうか。

 数か月前から、「時間があったら掃除機をかけてください。甥御さんより」というサ責からの張り紙が壁に貼ってあります。甥2人の要求は限りなくふくらみ、事業所は唯々諾々とそれに従う。ヘルパーは安給料で「お手伝いさん」と化す。もう、いったいどうなってるの!

M・F
介護相談員。 介護分野での執筆活動にも注力しています。 臨床美術という分野で、ご高齢者の心と体にアプローチしています。 みなさんの心に少しでもよりそい、お力になれればと思います。
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