判断する権限を与えられていないヘルパー

 以前から疑問に思っていたことがあります。

 それは、訪問介護のヘルパーは、利用者に何かあった場合、まずはサービス提供責任者に連絡して指示を仰ぐというルールです。どんなときもサ責を経由しなればならないので、極端に言えば利用者が緊急事態に陥っていても、ヘルパーは自らの判断で救急車を要請できないということです。また、「いつもと様子が違う、すぐに訪問看護師に連絡したほうがいい」と思ったとしても、直接看護師に連絡することもできません。もちろんPT、薬剤師、医師、ケアマネジャーなど、全員がチームであるにも関わらず直接連絡はNG。つまり、ヘルパーには自ら判断する権限が与えられていないのです。

 介護保険法には、「ヘルパーは、サ責以外のチームメンバーに直接連絡してはならない」などと一切記載されていませんから、各訪問介護事業所が勝手に作ったルールです。このルールは、ヘルパーに責任を負わせないことでヘルパーを守るという考えから生まれたのかもしれませんが、このルールのもとでは自ら考えて判断し行動できるヘルパーは育ちません。判断する訓練をしていないヘルパーがサ責になると、下記のような事態を引き起こします。

 在宅医療に携わっている医師から聞いた話です。

 ヘルパーが初期の褥瘡に気づいてサ責に報告していたのですが、サ責のところで止まっていたため、利用者は数カ月間放置され、医師が駆けつけたときは褥瘡がステージ4になっていて即入院だったとか。最初に気づいたヘルパーが直接医療側に連絡していたら避けられた事態です。

 先日、登録している訪問介護事業所の学習会に参加していたときのこと、サービス中のヘルパーからサ責に電話がかかってきました。「ナスの天ぷらが食べたいというので買いにきたが売っていない。ナスの揚げ煮でもいいか」。そのレベルの内容もサ責の指示を仰がなければならないのでしょうか。

M・F
介護相談員。 介護分野での執筆活動にも注力しています。 臨床美術という分野で、ご高齢者の心と体にアプローチしています。 みなさんの心に少しでもよりそい、お力になれればと思います。
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