新しいケア技術「ユマニチュード」 後編

 以前ご紹介したユマニチュードでは、ケアされる側とケアする側が絆を築いていくことがケアのカギになっています。認知症の人と絆を結ぶのは容易ではないだろうと普通は思ってしまいますが、それは「絆」を理屈で考えようとするから。

 ユマニチュードでは、赤ちゃんとママの見つめ合いや触れ合い、あるいは自分が好きな人を抱きしめるような感覚で絆を築いていくのです。例えば、ママが赤ちゃんを見つめない、触らないという時間が長かったら、赤ちゃんはママから忘れられていると感じてしまうでしょう。恋人や夫婦、友人関係も同じですよね。「あなたは大切な存在である」ということを相手が理解できる形で伝えるのです。これは人間としての原初的な絆なのではないかと、私は思いました。

 さて、その手順ですが、まずは「出会いの準備」。声かけしながら患者のプライベートな領域に入る許可をもらい、次いで「ケアの準備」。ともにいる時間が心地よいものだという雰囲気を醸しながら実際のケアへ。ケア中に行うのは、触覚や視覚、聴覚の全てにポジティブなメッセージを伝える「知覚の凍結」です。優しい言葉をかけていてもアイコンタクトがなかったり、腕をつかんだりすると、「あなたを大切に思っている」というメッセージとの調和がとれていないことに。ケア終了後は「感情の固定」を行います。認知症患者でも感情記憶は残るので、「この人は優しい人だ」という感情を覚えてもらいます。患者に触れながら「気持ちいいね」などポジティブな言葉をかけ、最後に「また来るね」と「次回の約束」をします。このときもアイコンタクトと前向きの言葉はとても重要。すると、名前は覚えていなくても顔を覚えていてくれ、次回スムーズにケアに入れます。

 介護現場では、おむつ交換を嫌がる認知症患者と30分以上も格闘するといったことも少なくありませんが、ユマニチュードの技術があれば、患者が望まない強制的ケアをなくすことができるだけでなく、ケアする側の負担も軽くなります。ユマニチュードの手法は150ものケースに合うように考えられているので、今回ご紹介した内容は、ほんの一部。

 介護に苦痛を感じている人は、ぜひ試してみてください。
 

M・F
介護相談員。 介護分野での執筆活動にも注力しています。 臨床美術という分野で、ご高齢者の心と体にアプローチしています。 みなさんの心に少しでもよりそい、お力になれればと思います。
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