100歳を過ぎると多幸感に包まれる

 100歳以上の人を「百寿者」といいますが、百寿者は特殊な精神世界で生きていることを、先日、NHKの「クローズアップ現代」で知りました。
 
 人間は、70代の頃までは、今までできたことができなくなった自分を認めたくない感情や老いや死に対する不安をもちやすいのですが、さらに年を重ねると否定的な感情や不安は薄れ、ポジティブ感が高まり、穏やかで幸せな境地に至ります。人生に満足し、ありとあらゆることに幸せを感じる多幸感に包まれる。こうした独特の心理状態を「老年的超越」というそうです。百寿者が急増している今、その研究への取り組みが進められています。
 
 番組には何人かの百寿者が登場していましたが、ある1人の男性がとても印象に残りました。彼は1人で外出することができなくなり、ベッドで寝て過ごすことが多くなったものの発する言葉は満足感に満ちていました。「周りの方や事物一切のもののおかげを受けている。生きさせてもらって感謝している」と。「もし戻れるなら何歳がいいか」との質問に「現在がいい」。「生活に満足しているか」の質問には「大満足」、「若い頃と比べて今はどうか」という質問には「今が大変幸せです」。彼の今の楽しみは通販ショッピングだとか。できないことが増えてもできることに喜びを見出すのも老年的超越の特徴だそうです。彼は15年前に妻を亡くし、近所づき合いも減りましたが、仏壇に手を合わせる姿に孤独の影は見えません。百寿者の多くが、見えない人とのつながりを感じているため、必ずしも孤独感があるとは限らないそうです。老い先が短いことのたとえを「棺桶に片足を突っ込む」といいますが、百寿者は、この世とあの世の狭間で生きているのかもしれません。

 百寿者は、仙人のようですし、悟りを啓いた人のようでもあります。多くの苦しみ、悲しみを乗り越えてきたからこそ到達するのが「老年的超越」なのでしょうか。

M・F
介護相談員。 介護分野での執筆活動にも注力しています。 臨床美術という分野で、ご高齢者の心と体にアプローチしています。 みなさんの心に少しでもよりそい、お力になれればと思います。
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