
保育園と学童クラブが民間委託されると、地域のコミュニティーがますます崩壊していくという問題もあります。これも、高齢者介護と無関係ではありません。
委託されている民間企業の多くは積極的に地域と関わろうとしないため、子どもたちは地域住民と隔絶された環境の中で日々を送ることになってしまいます。つまり、地域のおばちゃんやおじいちゃんたちと接する機会がないのです。子どもが地域で健やかに育つためには、地域の人たちとの2ウェイの交流が必要ですし、それがあればこそ地域の人たちの見守りの目も自然発生してきます。
近頃は、保育園の近隣住民が「子どもの声がうるさい」というクレームを園に突きつけ、訴訟にまで発展するケースもあります。また待機児童問題解消のために保育園を建設しようとすると地域住民が反対するケースも。子どもの声は、今や騒音なのです。誰でもみんなうるさい子どもだったはずですし、うるさい子どもを育ててきた経験を持っている人も多いはずなんですけどね。日本人は、いつから「お互い様」を忘れてしまったのでしょう。
少子高齢化が進んでいる今こそ、地域コミュニティーの再生が必要なのではないでしょうか。地域住民に互助精神があれば、1人暮らしの高齢者や老々介護の高齢者世帯はどんなに助かることか。
朝、ゴミ出しをするついでに高齢者宅のゴミ出しに手を貸したり、買い物に行くついでに御用聞きをしたり、さほど負担を感じずにできることは結構あるものです。決まった曜日と時間にしか来ないヘルパーさんより、頼りになるご近所さんがいてくれたほうが、高齢者はよほど心強いと思います。ホームヘルパーとご近所さんが協力しあって地域の高齢者を支える。これは実現不可能なことではないと思うのですが…。




