訪問介護をしているヘルパーさんたちが持ち歩くバッグやリュックには、どんなものが入っているかご存知ですか? 資格取得のための勉強のときに、もちろん基本的なことは学びます。エプロンやゴム手袋、メモ帳やペン、替えの靴下、場合によってはマスクなど。利用者さんからお茶をごちそうにならなくてもいいように、また、自分の水分補給のために飲み物も必需品です。でも、実際には、教わったものだけでは足りないことを、ヘルパーさんたちは体験を通して学んでいきます。
バッグの中身を数名のヘルパーさんに見せてもらったところ、それぞれに工夫を凝らしていました。Aさんは小さな手鏡を持ち歩いていました。例えば、入浴介助や気難しい利用者さんのサービスでひどく疲れたときは、自分の顔を手鏡でチェック。疲れている顔をしているときはミントのタブレットなどを食べて気分転換し、「よし!」と自分に活を入れて、ニコニコ顔で次のサービスに入るそうです。彼女は髪の乱れもチェックして、身づくろいにも配慮していました。
Bさんは45ℓのゴミ袋を2枚、常備していました。おむつ交換のときは、古新聞を床に敷き、その上に汚れた紙おむつなどを置いて包んで捨てますが、Bさんは床に尿などが染みて汚れないように、ゴミ袋を敷いてから、その上に古新聞を敷くそうです。彼女は、利用者さんが心肺停止状態になる可能性に備えて救命救急術を学び、人工呼吸をするときに必要なマウスピースも持ち歩いていました。
ヘルパーさんたちのバッグやリュックには、サービスの質を上げるためのいろんな知恵やアイディアが詰まっています。訪問介護事業所では、ヘルパーさん向けの研修が実施されていますが、みんなの持ち物を見せ合う。そんな研修会があってもいいのではないでしょうか。