
ここ1年ぐらい毎月1回ペースで各地の職人さん取材をしています。年齢層は70代が中心で80歳以上の方も。三味線製作の職人さん、看板や垂れ幕などの広告美術の職人さん。シルク染色の職人さん、パティシエの先駆けともいうべき洋菓子職人さん、創作こけしの職人さんなど、いろいろな分野で活躍している方からお話をお聞きしています。
お会いするたびに思うのは、どなたもポジティブで生き生きしていること。そして、おしゃべり好き。この取材を始める前は「職人さんって無口だから取材しにくいかも」と勝手に思い込んでいましたが、とんでもない(笑)。これまで誰一人無口な人はいませんでした。ある職人さんなどは、電話で取材依頼したとき「無口なもんで、お役に立てるかどうか…」と言っていたくせに、話しだしたら止まらない。どこが無口ですか?と聞きたいくらいでした。彼らに接していると、以前ご紹介した「会話をしているときは脳が活性化していて、会話が減ると認知症が進行する」という研究報告に対して、まさにその通りと膝を打ちたくなります。
認知症の予防法としては、食生活や生活習慣の改善、運動や頭を使うことなどが効果的と言われますが、職人さんたちは、「おしゃべり」と「仕事」で、無意識に日々脳トレを実行しているのではないでしょうか。高度な技を使って手指を動かしながら、きっと頭もフル回転しているはず。脳が活性化しているからおしゃべりになるのか、おしゃべりだから脳が活性化するのか、それはなんとも言えませんが(笑)。ついでにお伝えしておくと、黙々と作業に集中している職人さんは、超クールです。




