
以前、ブログに書いたご近所さん宅のひきこもり中年男性の事後報告です。母子ともに老いていくことを考えると、このまま手をこまねいていていいのかと自問自答していました。ところが、先日、そのご近所さんの家の前で、今まで見たことのない中年男性を目撃! 自転車を道路に出して、でかけていったのです。「もしや?」と思い、たまたま庭木に水やりをしていた近所の高齢女性に聞いてみました。すると、やはり例の彼だったのです。
彼女によれば、その男性のお母さんが入院しており、彼はひとり暮らしに。数十年にわたって一切の買い物を母親に依存してきたのですが、母親の入院という事態に直面し、自ら食料品などの買い物に行かざるを得なくなった。つまり必要に迫られて外に出るようになったのではないかと言うのです。母親は入院する前に、ゴミ出しの曜日についても紙に書いて指示していったそうですが、彼はそれを真面目に実行しているとか。たぶん生まれて初めてのゴミ出し体験でしょう。
そのことを私に教えてくれた高齢女性は、「お母さんが入院したことは、彼にとってはかえってよかったんじゃないかな」と。私も同感でした。母親は、今さら働くことは期待していないでしょうが、自分が生きているうちに少しでも外に出て社会との接点を持ってほしいと願っているはず。1人で買い物に行くことが、その一歩になればいいなと願わずにはいられませんでした。
その日、初めて彼を目撃したときは、2mも離れていないところに私がいるのに、こちらをチラとも見ませんでしたし、挨拶なんてもちろんなし。私もポカンとしてしまい後ろ姿を見送るだけでしたが、今度見かけたら絶対挨拶しよう。無視されても挨拶を続けようと心に誓いました。近所は、彼にとって最も近くにある「社会」なのですから。




