おいしくて飲み込みやすく美しい。 多田鐸介さんの介護食

 食べている最中に咳き込んだり、むせたりすることが多いと誤嚥の心配が出てきますよね。介護職に切り替えたくても、どう工夫して調理したらいいかわからないというご家族は多いのではないでしょうか。中には、ペーストにしたり、とろみをつけたりすればいいとか、なんでもかんでも刻めばいいと考えている方もいるかもしれませんが、これは必ずしもベストではありません。なにより料理の見た目の美しさが損なわれますし、刻み食は誤嚥しやすくなります。どろどろにしすぎて、かえて食べづらくなるということも。

 介護食を作るときに、ぜひ参考にしていただきたいのが多田鐸介さんという方の調理法です。多田さんはフレンチのシェフとして活躍していましたが、介護食の貧しい現状を知ったことで、病院食・介護食の現場にコンサルタントとして深く携わるようになりました。現在の肩書はクリニカルフードプロデューサー。多田さんが介護食を作っている様子や盛り付けの映像をテレビで見たときは、心底感嘆しました。

 料理は一品一品単独でお皿や食卓に並べると、食材の色が映えて見た目にも美しく食欲を刺激しますよね。でも、例えばハンバーグと付け合わせのブロッコリーやニンジン、フライドポテトなどを全部ミキサーで混ぜてしまったらどうなるでしょう。食材の色はすべて茶色に吸収されてしまいます。茶色でどろどろなんて、誰が食べたいと思うでしょう。

 多田さんの介護食がすばらしいのは、食材を混ぜ込まずにフランス料理でよく使う裏ごし、フェッテ(泡立て)などの技法などを活用し、食材の色を生かしていること。しかも、ムースのように口溶けがいいのです。例えば、煮魚でも多田さんの手にかかると、介護職とは思えないおしゃれな一皿に。ジュレにした魚の煮汁をお皿にたらし、その上にムース状にした煮魚を乗せると、見た目はまるでフレンチです。おいしくて飲み込みやすく目にも美しい。そんな料理なら食事が困難になってきたお年寄りも、喜んで食べてくれそうですよね。

M・F
介護相談員。 介護分野での執筆活動にも注力しています。 臨床美術という分野で、ご高齢者の心と体にアプローチしています。 みなさんの心に少しでもよりそい、お力になれればと思います。
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