
エネルギー源となるタンパク質、炭水化物、脂質の「三大栄養素」はもちろん、身体のさまざまな働きを助けるビタミンとミネラルも大切な栄養素です。特に低栄養になりがちな高齢者は、過不足なく摂取できているか注意が必要ですね。
私は、数年前にこんな体験をしました。
両手のひらと片足の土踏まずに小さな水泡の湿疹ができて、しばらくするとつぶれて、赤くただれてくるのですが、そのうち改善してガサガサしてきます。でも、間をおかずに、また発症。前回と同じ場所のときもあれば違うこともあります。
掌蹠膿胞症という無菌性の難治性皮膚病というのが皮膚科医の診断でした。塗り薬を塗っても一時的に治るだけで、また水泡に悩まされるという状態の繰り返し。石川啄木じゃないですが、じっと手を見ては、ため息をつく毎日でした。
ところが、1年半ほどたったころ、突然水泡ができなくなったのです。
薬剤師の知人と会ったときにその話をすると、すぐに調べてくれて「ビオチン(ビタミンの一種)療法というのがあるらしいよ」と。「数ヶ月前からマルチビタミンのサプリメント、飲んでるけど」と答えながら、私はハッとしました。
すぐに、そのサプリメントの成分をチェックしてみると、なんとそこには『ビオチン』の表記が! 知らず知らずに自分でビオチン療法をしていたというわけです。じわじわ効いてくれたビオチンに感謝!
ちなみに、現在は、掌蹠膿胞症に合併する掌蹠膿胞症性関節炎には、ビオチン療法が用いられているようです。
そんな体験から、私はビタミンに対する認識が大きく変わりました。
ビタミンだけでなくミネラルも体内で作ることはほとんどできないので、どちらも積極的に摂取しなければと。
利用者の健康管理は介護職の大切な仕事。今までにない症状を発見したら、栄養面のチェックをすることも大切ではないでしょうか。




