利用者が必要とする、サービスが提供できない不思議

本業のかたわら、短時間ながら訪問介護のヘルパーもしています。現場の空気感や実態、利用者さんの気持ちを肌身に感じないと、体温のある原稿は書けないと思ったからです。

Nさん(84歳・女性)とのおつきあいは、この秋、10年目に突入しました。彼女はとても外交的でよくお友達と出かけますし、シルバー人材センターに登録し、たまにバイトもするほどお元気です。お子さんがなく、ご主人に先立たれたため、たまに心細さを口にしますが、活動的な生活を心がけることで前向きに生きようとしています。彼女は現在要支援1。ほとんど自立しているといっていいですが、膝が悪いためしゃがむ姿勢がとれません。そのため床の拭き掃除やお風呂掃除などのサービスを利用しているわけです。

日常生活を送るうえで大きな支障はないといっても、人間の生活は、掃除、洗濯、調理など単純なくくりだけで成り立っているわけではありません。家事の大きな枠組みには入らない細かい作業がつきものですよね。例えば、照明の蛍光灯を新しいものと交換する。押入れや天袋から必要なものを取り出す。壁掛け時計の電池交換をするなど。

でも、こうした利用者の要望は介護保険サービス外なので、ヘルパーは原則的にできません。ヘルパーによってはきっちり断る人もいますし、求めに応じる人もいます。私の場合、後者ですけど。だってそうじゃないですか? しゃがめないNさんは押入れ下段からストーブを取り出すことはできません。踏み台に乗って蛍光灯を交換しようとしたり、天袋から物を取り出そうとして、転落でもしたら大変なことになります。

以前、サービス提供責任者に相談したところ、「サービス外だから、やってはいけない。社会福祉協議会高齢者向けサービスを利用するように伝えてください」と言われ、「この頭でっかち!」とカチンときました。利用者さんは、今、困っているのです。ヘルパーがいつものサービスついでに、サービス外の仕事に数分間だけ提供したっていいんじゃないでしょうか。そもそも利用者さんの危険や事故を未然に防ぐことは、ヘルパーの重要な仕事なのですから。

M・F
介護相談員。 介護分野での執筆活動にも注力しています。 臨床美術という分野で、ご高齢者の心と体にアプローチしています。 みなさんの心に少しでもよりそい、お力になれればと思います。
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