
親御さんと離れて暮らしている方にとって、親御さんに介護が必要になった時にどうするかは、とても悩ましい問題だと思います。いま悩んでも解決策はないから、その時になってから考える、という方も多いのではないでしょうか。
徐々に介護が必要な状態になっていったときにはそれでもいいかもしれません。しかし、転倒による骨折、脳疾患などによって、元気だった親御さんに突然、介護が必要になることもあります。
準備なしでいきなり介護体制を整えるのはなかなか大変なことです。その時に備えて、今からできる準備にはどんなことがあるでしょうか。
まず、帰省の際に、親御さんが暮らす家のご近所と、その地域を担当している民生委員に挨拶に行っておくとよいと思います。
民生委員は、地域住民の状況を把握し、無給で住民に必要な助言や援助を行う人。高齢者の夫婦二人暮らしや一人暮らしの世帯は、特に意識して見守ってくれています。地域住民から、地域での困りごとの相談を持ちかけられる立場の人でもあります。例えば、親御さんとご近所との間で何かトラブルがあったりすると、民生委員に連絡が行く場合もあります。
そこで、ご近所の方や民生委員に、親御さんが日常生活で困っていることがあったら力を貸してくれるようお願いするとともに、何か異変があったら連絡してほしいと、自分の連絡先を伝えておくと安心です。親御さんの状況や家庭の事情をどこまで伝えるかは、親御さんとの近しさを確認したうえで判断するとよいでしょう。
帰省のたびに、ご近所の方々と民生委員に挨拶をし、親御さんに変わったことはないかを聞いておけると理想的です。そうすることで、この家の子世帯は親のことをきちんと考えている、何かあったらきちんと対応してくれるに違いないという印象を与えることができるからです。それだけで、親御さんはその地域で暮らし続けやすくなると思います。
次に、親御さんの家があるエリアの「地域包括支援センター」に行き、高齢者世帯の生活支援をしてくれるサービスにどのようなものがあるかを尋ねておきます。
地域包括支援センターとは、中学校区に1つある介護の総合相談窓口です。在宅での介護について困ったことがあれば、何でも相談できるということを覚えておいていただけるといいと思います。ここには地域の介護についての情報が集まっています。介護保険のサービスだけでなく、要介護認定を受けていない方向けのサービス、介護保険外のボランティアによるサービスなど、様々なサービスの情報を得ることができます。
それぞれの介護サービスがどのようなものであるか、一通りの説明を聞いておくと、いざというときの備えになります。
何かあった時に全くゼロからスタートするより、こうして少しずつでも地域の方との関係づくりと情報収集をしておくのとでは、ずいぶん違うと思いますよ。




