
介護サービスを受ける時、「プロにお願いするから安心」と思う方は多いと思います。
ところが、実際に介護サービスを受け始めると、「おや?」「あれ?」と思うことが出てくることがあります。
自分たちとやり方が違う。押しつけがましい。あるいは、気が利かない。
そんな不満を持つ方は多いと思います。介護は生活に密着したサービスであり、生活において何を大切にするかは一人一人違うため、どうしても感覚のずれが生じるのです。
しかし考えてみてください。
感じ方が一人一人違う以上、一致する方がむしろ珍しい。違うことを前提として、サービスの利用者として受け入れにくい違いについては、要望を伝えて修正してもらえばいいのです。
要望を伝えても修正しようとしないとしたらそれは問題ですが、実はそうした要望を伝えないまま、不満を募らせていく利用者、ご家族の方はとても多いのです。
そして、介護事故など大きなトラブルが生じた時に、そうした不満が一気に爆発してしまうことがあります。これはとても残念なことです。
日ごろから言葉を掛け合うのはとても大切なことです。
こまめにコミュニケーションを取っていれば、互いに理解し合うことができ、相手の短所だけでなく長所もわかります。話す機会が多ければ、要望も伝えやすくなります。また要望を伝える際、「いつもとても助かっています。ここをこうしてくれるともっと助かるんだけど…」と、感謝の気持ちとともに伝えれば、大きな気持ちの擦れ違いには発展しにくいものです。
お金を払ってサービスを買っているのになぜ感謝の気持ちを伝えるの、と思う方もおられるかもしれません。確かに介護保険が始まり、介護も契約に基づくサービスとなりました。しかし個人のプライベートゾーンにまで踏み込んでサービスを提供する介護は、利用者とサービス提供者の心理的距離が近く、やはりレストランやホテルで受けるサービスとは違います。
気持ちの良い人間関係の中でこそ、気持ちの良いサービスが提供される、そしてそうした関係は両者が協力して作っていくものだということをご理解いただければと思います。
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