介護相談を受けていて、よく耳にするのは、「デイサービスに行きたがらない」、「ヘルパーが家に入るのを嫌がる」といった、介護サービスを利用したがらない親御さんについてのお話です。
子どもから見れば、介護サービスを利用したほうがいい状態なのに、頑として受け入れない。困った。そうおっしゃる方がたくさんおられます。
子どもさんはなぜ困っているのでしょうか。
親御さんのことが心配だからですね。
不自由に見える親御さんの暮らしを何とかしたいと思うからですね。
では、親御さんはどう思われているでしょう?
「子どもが心配してくれてうれしい」という方もおられる一方で、「子どもに心配されるほど落ちぶれてはいない」、「何も不自由など感じていない」と憤慨される方、「自分は介護サービスを使う必要があるように見えるほど心配なのか…」と傷ついてしまう方もおられます。
そういう気持ちの中で、サービス利用を勧められても、なかなか受け入れにくいかもしれません。
ではどうすればいいでしょうか。
不自由ながらもなんとか暮らしているのであれば、「困ったことがあったらいつでも言ってほしい」、「大切に思っているから何か力になりたい」という気持ちを伝えつつ、しばらくは見守る方がいいかもしれません。
しかし心身に不調をきたしている、いつ事故が起きてもおかしくないなど、生命の危機につながる可能性がある場合は、親御さんの気持ちに理解を示しつつも、少し無理をしても介護サービスの利用を始めることが必要な場合もあると思います。
ただ、親御さんの人生は親御さんのもの。
どういう生活を送るかは、本来は親御さん自身が決めるべきものであることは忘れずにいたいものです。