
前に仕事をしていた施設での話です。
グループホーム(認知症専門の施設)から移ってきた、たくさんのお薬を内服しているAさん。
環境が大きく変わったために落ち着きません。眠ることができず、いろんな種類のお薬を飲んでいるため意識ははっきりせず、転ぶ危険性が高い状況でした。
食事中にはお茶碗を持って立ち上がり、「ご飯くれ」と何度も叫びます。
「ご飯食べましょうね。」とお茶碗を見せてあげて着席を促します。スタッフは、何度も同じように対応します。
数日が立ち、昼に眠り夜に起きるという昼夜逆転の生活になりました。
看護師、医師は相談して、薬の内服を思い切って止めることにしました。
介護士たちは、なるべく日中に起こすように声掛けをし、集中できるような役割を持ってもらうようにしました。
すると、夜間の睡眠時間が延びてきて、突然の立ち上がりも徐々に減っていったのです。
グループホームでは、手間がかかり大変だと医師に相談して出されたお薬でしたが、本人が興味を持てるものを提供したり、同じ関わり方を繰り返すことで状況が変わりました。
認知症の方の対応は、根気強さが求められます。
大切なご家族がには、どんな環境でどんなふうに過ごしてほしいか。
経済的な問題もあり大変なことですが、しっかり考えたいものですね。




