
施設に入所されている方は「介護される人」。
でも少し前までは「介護する人」だったり「父」「母」だったりしていました。
私の知り合いで施設に入所されているある方は、学校給食の調理員いわゆる「給食のおばさん」でした。
認知症で、不安定になった時に彼女の思い通りの援助をして満足してもらえると「田んぼくれてやる。」といいます。「米と、もち米とどっちがいい?」と。ずーっと農業の中にいる様子。
中々現在のことを話すことはありませんが、その中でも彼女が一番不安になるのは「明日会社だから今日は帰らなければならない。お世話になったけども、妹に電話してほしい。」
というようなものです。
介護スタッフは「会社が明日はお休みだからゆっくりしていって。」とか、「さっき妹さんと連絡を取ったら、ゆっくり泊まっておいでと言ってたよ。」などと対応します。
すると、とっても安心した表情で、「よかった。これ以上迷惑かけられないからね。」と毎回答えてくれます。
彼女にとって、真剣に貢献した場所が職場だったのだということがよく理解できます。
認知症になると、人生の素晴らしかったとき、懸命に頑張った時の中に戻るのかもしれません。




