今年の流行語大賞には、ラグビー日本代表チームのスローガンである「ワンチーム」が選ばれました。心を一つにてして戦う「桜の戦士」の活躍に、日本中が歓喜したことは、記憶に新しいところです。
私も「にわかファン」として、テレビの前で大いに楽しませてもらいました。 試合後は「ノーサイド」、互いの健闘を称えあう姿も、すがすがしいですね。
介護においても「チームケア」は大切です。一人で抱えこまず、多くの協力者を得ることが負担軽減につながります。
以前ケアマネジャーとして担当したAさん(女性 82歳)はご主人と二人暮らし、軽度の認知症を患い、同じ年のご主人が自宅で介護されていました。気丈なご主人で、人の手は借りたくないと一人で奮闘されていましたが、Aさんはお風呂に入ることがだんだん億劫に…ご主人が声をかけても、「また明日」と言って何日も入らない、とついにご主人から相談がありました。
デイサービスでの入浴を提案しましたが、もともと外出が好きではないAさん、ヘルパーさんの介助の元、自宅で入浴ができるよう準備を進めました。とはいえ、いきなり見知らぬ人が来て、お風呂に入りましょう、と誘っても簡単には応じそうにありません。ご主人や訪問介護事業所の担当者と相談し、まずはヘルパーさんに慣れてもらうことから始めました。温かいタオルで顔を拭いたり、足浴を行いながら、ヘルパーさんと会話を重ねるうちに、Aさんは次第に打ち解けてきました。
そして、ある日、ヘルパーさんの誘いに応じ、お風呂場へ…抵抗なく入浴ができたのです。少し時間はかかりましたが、ご主人や訪問介護事業所の担当者、ヘルパーさんと連携を密に取りながら、アプローチした結果が実り、その時には皆で喜び合ったことを覚えています。
これぞ、まさに「チームケア」 。
それ以降、ご主人は困ったことを何でも相談して下さるようになりました。高齢でもあり、実は介護負担が大きかったようです。
良いチームができれば、良い介護につながるように思います。
「ワンチーム」を作るための調整役を担うのがケアマネジャーです。
困った時には、遠慮せずに何でも相談していただければと思います。