残暑お見舞い申し上げます。 立秋を過ぎてもまだまだ厳しい暑さが続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
【葉月】【穂張り月】【南風月】【秋風月】【雁来月】 【木染月】【竹の春】【月見月】【燕去月】【萩月】
さて、上記の言葉でみなさんは何をイメージされますか?おそらく「葉月」は8月の別名として有名なので、すぐおわかりになったかと思いますが、実はそれ以外もすべて“8月の別名”として存在しているようで、日本の季節に対する表現がとても繊細で奥深いものだと改めて感じました。今回はその由来をご紹介したいと思います。
現在の暦で8月は真夏の盛りですが、旧暦の8月は現在の感覚でいえば秋の始まり~秋のたけなわの頃になります。
【葉月(はづき)】 葉が生い茂る季節ではなくて、木の葉が紅葉して落ちる月(はおちづき)、稲の穂が張る月(ほはりづき)、台風を表す言葉の南風月(はえづき)などが縮まり「葉月」と呼ばれるようになったと考えられているようです。
【秋風月(あきかぜづき)】 暑い夏が終わり、秋風が吹き始める時期であることから、「秋風月」という別名が生まれているようです。
【雁来月(かりきづき・がんらいげつ)】 雁はカモ科の水鳥で鴨と仲間ですが、体長は雁が大きく鴨が小さいという特徴があります。雁は、夏は日本より北の地域で繁殖をしますが、冬は越冬のため日本に飛来する時季が旧暦8月の頃であることから「雁来月」という別名が生まれているようです。
【木染月(こぞめづき)】 それまで緑一色だった木々の葉が、紅葉~黄葉していく様を見て、人々は木々が色濃く染まると表現し、そこから「木染月」という別名が生まれているようです。ちなみに「濃染月(こぞめづき)」と別の漢字を用いて表現することもあるようです。
【竹の春(たけのはる・ちくしゅん)】 竹といえば筍で、春のイメージが強いと思いますが、筍が竹になり新葉がでるのは秋の頃らしく、竹にとって若竹が成長するのが秋であることから、「竹の春」という別名が生まれているようです。
【月見月(つきみづき)】 日本では古来より月を愛でる習慣があり、特に有名なのは十五夜ですが、十五夜とは旧暦の8月15日のことで、この日は団子やすすきなどをお供えし、お月見をします。このことから「月見月」という別名が生まれているようです。
【燕去月(つばめさりづき)】 燕は日本で繁殖しますが、秋になると日本の寒い冬を避けるため南方に移動します。燕が去るのが8月ということから、「燕去月」という別名が生まれているようです。面白いことに8月は燕が去っても雁がやってくるので、前述した「雁来月」と対照的ですね。
【萩月(はぎづき)】 秋の七草で有名な萩は、マメ科の落葉低木で、秋になると一般には紅紫色の蝶形の花を房状につけます。旧暦の8月は萩の花が咲くころであることから「萩月」という別名が生まれているようです。
カレンダーに表記されている『8月』の背景に、こんなにもたくさん「風情ある言の葉」がひそんでいたのかと思うと優雅な気分になりました。これも古くから観察力を持ち、感受性豊かな人々が“自然を肌(心)で感じる”ことで様々で繊細な表現が生まれてきたのだと思いますし、こんな素敵な感覚が、人工知能(AI)が進化しつつある現代でも失われずに、生き続けてほしいと願います。