老年期(65歳以上)の方々の生き方や社会への適応は、個人の性格と深い関係があると考えられており、アメリカの心理学者が5つのタイプに体系化しているとの記事に触れ、大変興味を持ちましたので、今回はこれを紹介したいと思います。
【 社会適応型グループ 】
① 円熟型 自分の「老い」を自覚し受け入れて、意欲的に活動し、未来に対しても現実的な展望を持っているので、新しい環境の中で自己表現でき、満足を得られるタイプ。何事も積極的に自分で自分の人生を進めようとするため、支援する負担が少ないので、関わりやすいと言える。例えばPCやスマホのような新しい技術も、面白がって使えるようになる。
② 安楽椅子型(依存型) 「老い」は受け入れるが、円熟型に比べて受身・消極的なタイプ。他人に依存しながら“お気楽な隠居”の存在でありたいと思い、積極的に新しいことには取り組まないが、誘われれば、新しい環境への適応もできる。関わり方としては、生活不活性病にならないように、活動的な物事への取り組みを促す必要がある。PCやスマホのような新しい技術も、それが自分にとってラクで便利なものであることが理解できれば、使いこなせる。
③ 装甲型(自己防衛型) 「老い」への不安と恐怖から、積極的にトレーニングをして、強い防衛的態度をとるタイプ。なんとか若い時の生活水準を守ろうとするあまり、PCやスマホのような新しい技術も「使いこなせないと恥ずかしい」という心理から、受け入れようとする。責任感が強く、様々な活動を続けようとするので、結果として無理をしてケガなどをしてしまうこともある。関わり方としては、本人の「まだまだ、現役だ」という自尊心を傷つけることなく、無理はしすぎないように注意する必要がある。
【 社会不適応型グループ 】
④ 自責型(内罰型) これまでの過去は失敗で、それは自分が原因だと考え、愚痴と後悔を繰り返すタイプ。仕事に一途で家族を顧みず、気づけば家族から相手にされない状況にあることを嘆くような高齢者。うつ病になりやすく、新しいものにも適応しようとしない。関わり方としては、いつまでも過去にとらわれることなく、反省すべきことは反省しつつも、なんとか新しい関係性などを築いていく必要がある。
⑤ 攻撃憤慨型(外罰型) 自分の過去も老化自体も受け入れることができないタイプ。自分を省みる心はなく、過去の失敗の原因は、環境や他者のせいとして責任転嫁する。不平や不満が多く、周囲に対しても攻撃的にあたり散らすため、トラブルを起こす。お年寄りとして周囲から優しく親切にされても、それをポジティブに受け入れられない。どこまで献身的に対応しても感謝されることもないため、周囲はサポートすること自体が困難。
いかがでしたか。高齢者は皆「頑固でワガママ」と言われていた強い印象も、上記のことから「自己防衛型」や「不適応型」として分類することができて、タイプ別に冷静かつ効果的に関わり合う術を得られるのかもしれません。
私自身、関わり方という点について非常に参考になりましたが、既に自分自身の中にも、このどの分類に至るかという「方向性」も自ずと見えてきました。 自分にとっても、周囲にとっても『よい老後』を送れるよう、今から自分自身を「円熟型」に成長させていきたいものですね。