シニアの住まい

高齢者を対象にした住まいは、施設サービスとして提供されている介護保険施設の他、主に民間企業が運営している有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅(高齢者専用賃貸住宅)、シニア向け分譲マンションなどがあります。
お元気なうちから入る健常者向けと介護が必要な状況になってから入る要介護者向けがあり、「どこで」「どんな暮らしを」「いつまで」と考えることで、入居するタイミングが変わってきます。

シニアの住まい・2つのタイプ

健常者向け タイプ 要介護者向け
40㎡以上 バス・キッチン付 居室 18㎡前後
温泉・プールなどの娯楽設備 設備 必要不可欠な共用設備
介護予防 健康管理 生活支援 サービス 介護・医療サービス 生活支援
適度な距離感 束縛しない 自由を大切にサポート
さりげない気配り
ホテルのようなサービス (コンシェルジェ)
スタッフの対応 状態に合わせた知識・技術 (身体介護・認知症介護)
十分な見守り
残存能力の引き出し
2000万円~数億 入居金 0~3000万円前後
従来からあるタイプ 郊外型と都心型 その他 介護保険制度施行後、増加
入居金が抑えられたタイプ
元気なうちから タイミング 介護が必要になった時
ご本人 決断者 ご家族

シニアの住まい・分布図

シニアの住まい-選び方

~準備編~

<心得>

1.優先順位を明確にしておく…迷わない判断軸が重要ポイント!
2.ご家族でしっかり話し合い、意思統一をしておく…いざ決断の時に暗礁に乗り上げることも!?
3.すべての理想にかなうホームはない…理想を追い求めすぎて、タイミングを逸するリスクも考える

1.資金計画

1.充当できる資金の把握
・総資産(自宅・不動産・預貯金・有価証券・退職金・その他)
・月々の収入(年金・家賃/給与収入・利子/配当金)
2.入居期間の想定
・平均余命から入居期間を予想する(平均余命+2年くらいを想定)

男性 女性 男女差
0歳
(平均寿命)
79.64 86.39 6.75
65歳 18.86 23.89 5.03
70歳 15.08 19.53 4.45
75歳 11.58 15.38 3.80
80歳 8.57 11.59 3.02
85歳 6.18 8.30 2.12
90歳 4.41 5.76 1.35
95歳 3.17 4.06 0.89
100歳 2.30 3.00 0.70
105歳 1.68 2.30 0.62
(2009年 平均余命表 厚生労働省)

3.入居金と月額の支払い可能金額の割り出し

75歳 男性(例)
月々の収入 年金(A) 月20万円
家族からの援助(B) なし
家賃収入など(C) なし
預貯金・不動産売却などの資産 5000万円
親族への相続 2000万円
臨時費用(入院などのために取っておく費用) 500万円
本人利用分(D) 2500万円
想定入居期間 約13年(156ヶ月)

月額支払い可能額 割り出し式
月額支払い可能額=( (2500万円(D) – 入居金※ ) / 156ヶ月 ) + 20万円(A)
※入居金800万円の場合 ⇒ 月額支払い可能額=30.1万円
※入居金1500万円の場合 ⇒ 月額支払い可能額=26.4万円

2.立地条件
  • ご家族が通いやすい場所
  • 緑の多い郊外
  • 便利の良い都心
  • 住み慣れた土地
  • 静かなところ
  • 賑やかなところ
  • 幼い頃に過ごした場所と似た雰囲気  等

立地や環境はそれぞれの好みで決めますが、「ご家族やお友達が通いやすいところ」というのは入居後の生活を考える上でも重要です。

3.入居する方の状況把握

身体状況から必要なサービスを、性格等からホームの雰囲気に合うかどうかを考えることが重要です。病歴や、今まで大切にしてきた趣味・生きがい、考え方、交友関係など、あらゆる面から状況を把握しましょう。

~情報収集編~

具体的にどこにどんな住まいがあるか、種類なども含めて調べていきましょう。
必要な情報は、以下から集めることができます。
・マスコミの広告(新聞テレビなど)
・情報誌・フリーペーパー
・インターネット(ホームページ)
・有料老人ホーム等の紹介センター
・役所・ケアマネージャー等

~実地見学編~

予算や立地条件等から候補のホームが決まったら、実際に見学をしていきます。
「百聞は一見に如かず」と言うとおり、見学ではパンフレットでは知り得ないたくさんの情報と接することになります。見落としがないようにチェックリストを用意しましょう。

1.費用

<入居金・前払い金>
入居金・前払い金は、ホームがまとめて預かり、一定の年数(償却期間)をかけて償却していく仕組みになっています。償却期間内に退去になった場合は、未償却分が返金されます。また、契約時にまとまった金額の償却(初期償却)が設定されることも多く、返還金について十分な計算が必要です。

<月額利用料>
食費・管理費・家賃相当分が概ねの内訳となっています。介護認定が降りていない方は、自立サポート費が徴収される場合があります。
別途費用(介護保険1割負担額、医療費、交際費、嗜好品代等)は必ずかかります。それを含めた総費用を資金計画に取り入れることが重要です。

2.周辺環境

交通手段・駅からの距離……外出する際のことだけでなく、ご家族が通いやすいかを考えましょう。
病院との距離……定期的な通院が必要な場合は考慮する必要があります。
外出・買い物の利便さ……見守りがなくても外出可能な方の場合は、アクティブに無理なく外出を楽しめるかを確認しましょう。

3.建物

共用設備も含めた居心地・使い心地……ホームでの暮らしは意外に共用部分で過ごす時間も多いもの。専用居室だけでなく共用部分もチェックしましょう。
自立者と要介護者の住み分け……身体状況の違う方同士が同じホームで暮らす場合、お元気な方が精神的に落ち込んでいくケースがあります。自立の方が要介護者向けホームを検討する場合は、必須条件となります。
スタッフの導線……スタッフが働きやすい導線を確保できているかで、サービス内容に差がでてくることがあります。
清掃・衛生管理状況……運営期間が長くなると、その管理の差がはっきりとしてきます。清掃をスタッフの仕事としているところは、スタッフ不足を見極めるポイントになることも。

4.介護・医療サービス

生活支援・健康管理・介護サービス内容……月額利用料でどこまで提供されるか、何が自費サービスとなるかを確認しましょう。
協力医療機関……協力内容や、緊急時の近隣病院との協力関係も確認しましょう。
看護師の配置……医療的ケアが必要になった場合は、看護師が長時間いることが安心につながります。

5.食事・イベント・アクティビティ

<食事>
基本的には栄養バランスがとられ、季節感のあるめりはりのあるメニューが用意されています。味に関しては主観的なものになるので、試食をさせてもらいましょう。介護食(きざみ・ペースト食)や医療食の対応、料金の有無も確認しましょう。

<イベント・アクティビティ>
季節のイベントや毎日のアクティビティは、スタッフが工夫していろんな企画がされています。
長く続けてきた趣味をホームに入っても続けられるように、サークル活動内容の確認もしましょう。

入居者・スタッフ・施設長

ホームのサービスの質は、入居者の方の表情が表わしています。見学時には入居者の方の様子(表情や身だしなみ、清潔感があるかなど)をチェックしましょう。
また、スタッフの対応や挨拶などで、教育体制を垣間見ることができます。
施設長はホームのかじ取り役。ホームの運営や雰囲気は、施設長で左右されます。施設長とじっくり話す機会を設けましょう。

7.その他

入居契約にあたっては、重要事項説明書・入居契約書・管理規定などの書類に目を通す必要があります。じっくり読み込み理解することが大切です。見学時に請求し持ち帰りましょう。

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