福祉用具と日用品の選び方

福祉用具や日用品は、日常生活に支障がある方が、ご自身でできることを補助する用具のことです。介護保険では自立支援を目的に、レンタルや購入の制度があります。
いずれも介護保険を申請し、要支援や要介護と認定された場合のみ、1割負担で利用できます。

福祉用具の主な種類

介護用ベッド
介護用ベッド
寝返りや起き上がりがしにくくなったり、一日の大半をベッドですごす人には介護用ベッドは必需品です。また、介護する人にとっても、背あげや高さを変えられる電動ベッドは身体への負担軽減に役立ちます。介護用ベッドは介護保険では原則として、要介護2以上の方にレンタルされます。マットレスやベッド柵、移動用バー、ベッドサイドテーブル、移乗用のボードやシートなど関連する付属品もレンタル対象品です。
車いす
車いす大きく分けて、自身で操作する自走用・介助してもらって移動する介助用・電動車いすの3種類があります。心身の状態や利用場所によって選ぶポイントが異なり、長時間利用する方の場合はフィッティングが重要となるため、レンタル・購入の際には福祉用具専門相談員に相談しましょう。
→車いすの選び方
ポータブルトイレ
ポータブルトイレトイレが間に合わない、寝室から遠いなど、排泄に不安を覚えたら、寝室にポータブルトイレの導入を検討しましょう。脱臭機能付き、家具調など種類もさまざまです。介護保険では購入対象品になっています。
入浴補助具
入浴補助具高齢者の家庭内事故の多くは、浴室で起こります。安全に入浴するための入浴用いす、浴室用手すり、入浴台、すのこなどは、介護保険の購入対象品になっています。
その他
その他歩行補助杖、シルバーカー、スロープ、徘徊感知機器などが介護保険のレンタル対象品になっています。介護保険適用の可否は医師や理学療法士、ケアマネジャーに相談しましょう。
→日用品・衣服選びのポイント
→排泄用品選びのポイント
→おむつの当て方

歩行に不安がある場合

転倒の危険性があったり、一人での歩行が不安になったら車いすや歩行補助具を利用します。室内移動は手すりや歩行器があれば歩けるけれど、外で長時間移動は難しい場合は、室内では手すりや歩行器、外では車いすなど状況に応じて使い分けます。

いずれもたくさんの種類がありますが、デザインや価格重視で選択すると、さらに身体に負担をかけてしまう場合があるため、必ず医師や理学療法士など医療の専門家や福祉用具専門相談員に相談し、身体にフィットしたものを選ぶ必要があります。

なお、普及品のT字杖は介護保険のレンタル対象品にはなっていません。


車いすの選び方

室内移動の場合、室内導線や廊下幅、出入り口の幅などのサイズが車いすに合っているかどうか、事前に計測しておきましょう。また、トイレや洗面所などの狭い空間での回転や移乗が難しい場合は、住宅改修も念頭に入れ、福祉用具専門相談員に相談しましょう。
外出用であれば、要介護高齢者の場合、基本的には押してもらうタイプの介助用車いすのほうが安全です。自走式の場合は、タイヤの口径の大きいもののほうが安定して走行できます。周辺の道路の状況を事前によく調べ、段差や横断歩道、ふみきりなど危険な場所への対策を講じましょう。

日用品・衣服選びのポイント

衣類や生活用品(食器などの自助具)は、介護保険の対象ではありませんが、高齢者が一人でできることを手助けしてくれ、介護者の介護負担も軽減してくれる優れものが数多くあります。

脱ぎきしやすい衣服

脱ぎきしやすい衣服加齢に伴い背中が丸くなったり、まひがあって一人で着替えられない方用の、着脱しやすい衣類が販売されています。しかしこうした衣類は種類が少なく価格も高価なため、ミシンが使える方ならリフォームをおすすめします。ボタンをマジックテープに交換したり、えりぐりに切れ目を入れて広くするだけでも、格段に着がえが楽になります。

リハビリシューズ

リハビリシューズマジックテープ付きで着脱が簡単で、甲をしっかり固定し歩きやすいシューズが発売されています。障害のある方が補装具(足を支える道具)とともに装着することができるよう、片足ずつ販売されているものもあります。

食事や着替え、排泄など、日常生活をサポートする便利な道具を自助具といいます。
これらはデパートや大型量販店の介護用品売り場で扱っているほか、福祉用具を扱うショップにおいてあるカタログに、たくさんの種類が紹介されています。いずれも取り寄せや通信販売が可能です。100円均一のショップで扱っているところもあります。ここでは代表的なものを紹介します。

曲がりスプーン

握る力が弱くなったり、口まで運ぶことが難しい方のために、スプーンやフォークの柄を自由に曲げられるように工夫されています。また、柄の部分の太さを変えることで、本人の力や手の大きさに合わせることができます。

自助コップ

飲み込みがうまくできない人があごを上げなくても最後まで飲めるコップや、片手で歯磨きするための歯ブラシホルダー付きコップ、重心が重く倒れにくいコップなど、障害の種類や程度によってさまざまなコップが販売されています。

滑りにくい食器

両手を使って食事をするのが難しい方には、食器の底が滑らないシリコンやゴム製になっていて、支えなしで箸やフォークを使っても滑らず安定している食器や、手前と奥の深さが異なり、すくいやすい器などが発売されています。

口腔ケア用品

自分で歯磨きできなくなった方用に、刺激の少ないスポンジ球のついたブラシや、弱った歯肉を傷めずにケアするための指サック状の口腔ケア用品、口腔ケア用ウエットティッシュなどがあります。

排泄用品

排泄は人の尊厳にかかわる部分のため、介護が必要になっても、トイレ介助やおむつ利用に抵抗を示す方は多いもの。現在は、排泄用品も便利で使いやすい高機能なものが増えているので、まずはサンプルを取り寄せるなどして、使い心地を試してもらいましょう。

自力で排泄できるけれど、トイレに間に合わず失禁することが多い方は、居室にポータブルトイレを置いたり、下着感覚のパンツタイプのおむつから試していただくなど、段階的に排泄用品を導入していきましょう。

失禁パンツ

くしゃみや少し力が入った時などに少量漏れてしまう方が使用することが多いです。50~100ミリくらいの漏れまでは対応でき、繰り返し使えて経済的です。

パット併用パンツ

ショーツの両脇が開閉できるため、オムツをはずすことに向けてパッドが取り外しでき、ご自身で交換できるタイプです。他に、前開きのものなどもあります。

リハビリパンツ

下着のようにはけるタイプで、最近ではズボンをはくとつけていることがわからない薄型タイプのものも増えてきました。日中は自分で、夜間は介助で交換しやすいよう、ウエスト部分の左右にテープがついたタイプもあります。

尿取りパット

製品によって、1回~数回分吸収できるものがあります。テープ型のおむつは、尿取りパッドを併用することで、1回ごとに交換しなくても済み経済的です。

テープ型オムツ

ベッド上で過ごされる時間が長い方がご利用する、介助者に交換してもらうタイプです。体のサイズに合ったものを選び、尿取りパッドと併用します。

平おむつ

防水シーツの代わりにも使える、経済的なフラットタイプのおむつです。主におむつカバーと併用します。

おむつの当て方

もれないためのおむつの当て方
もれ箇所 テープ型紙おむつ パンツ型紙おむつ
  • 太もも部分に隙間ができていないか確認しましょう。
  • ウエストテープを引き上げるようにして止めなおすといいでしょう。
  • リハビリパンツの後ろ部分にシールが付いています。
  • 前後を反対にはくと漏れの原因になります。
腹側
  • 体の左右の中心に紙おむつを合わせます。
  • ヒップサイズを目安にサイズを確認しましょう。
  • 男性の場合、尿取りパッドを併用すると効果的です。
  • 女性の場合は尿取りパッドを蛇腹のように畳んで当てるとたくさん吸収できます。
  • 衣類や下着が紙おむつと体の間に挟まっていないか確かめましょう。
  • ウエストサイズを目安にお腹に余分な隙間ができないものを選びます。
背中
  • ウエストまわりにギャザーなどがある商品を使用し、隙間ができないように当てましょう。
  • 衣類や下着が紙おむつと体の間に挟まっているともれることがあります。
  • おなかの調子を崩し便が水様の場合には、防水シーツや平オムツを下に引いて経過を見ましょう。
  • ウエストサイズを目安にサイズを確認しましょう。
  • 衣類や下着が紙おむつと体の間に挟まっているともれることがあります。
  • 両足のももの付け根に沿って紙おむつを当て、足まわりのギャザーは立てて使用します。
  • おしっこが出てくる部分に紙おむつを密着させ当てます。
  • 足まわりのギャザーが外側に正しく出ているかを確認しましょう。
  • おしっこが出る部分に紙おむつを密着させるように少し腰部を引き上げましょう。
  • 尿取りパッドを使用する場合は立体ギャザーの内側にパッドがおさまるようにして使用しましょう。
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