流行する「インフルエンザ」と「ノロウイルス」
感染症のなかでもかかりやすく、これからの時期、特に気をつけたいのがインフルエンザとノロウイルス。ここでは、その症状と対処法を紹介します。
【インフルエンザの症状と予防法】
インフルエンザは毎年、晩秋から流行りはじめ、1~3月頃に大流行します。2009年には新型インフルエンザが世界的に大流行し、日本でも200人以上の死者を出したことは記憶に新しく、犠牲者の多くは糖尿病やぜんそくなどの基礎疾患をもつ方でした。
1.インフルエンザは飛沫感染
インフルエンザは、咳やくしゃみをした際にウイルスを吸い込むことで感染する「飛沫感染」です。人ごみ(電車の中や込み合う商店など)では、感染するリスクが高まるので、マスクで予防しましょう。
2.インフルエンザの症状
38℃以上の発熱、頭痛、関節痛や筋肉痛、寒気、全身倦怠感、咳などです。ただし高齢者では高熱が出ない人も多く、一般的な風邪(流行性感冒)との見分けがつきにくい場合があります。
3.高齢者のリスク
インフルエンザなどの感染症が引き金となり、肺炎や脳炎など重篤な症状を併発することがあるため、利用者の体調に少しでも不安があるようなら、かかりつけ医の受診をすすめます。
4.予防法
- 流行前にワクチン接種を受けましょう。
- 空気が乾燥していると、ウイルスの侵入を防ぐからだの身体機能が低下するため、室内は常に50~60%の湿度を保てるよう、加湿器などで調整しましょう。
- ウイルスは咳で約1.5メートル、くしゃみで約3メートル飛散するといわれています。マスクの着用、咳やくしゃみをするときは、ハンカチなどで口元を押さえましょう。
- 咳やくしゃみを処理した後は、手洗いをします。
【ノロウイルスの症状と予防法】
ノロウイルスによる食中毒は1年中発生していますが、統計的には毎年11月頃から発生件数が増え、1~2月頃にピークをむかえます。
ノロウイルスは汚染された食品や手指などについたウイルスが口に入ることによって発症する「経口感染(接触感染の一種)」です。カキなどの二枚貝が原因で発症することはよく知られていますが、もっとも多い発症例は二次感染です。
その経路は、ノロウイルス感染者の排泄物や吐しゃ物に触れた人(保菌者)が、よく手を洗わずに調理作業に当たることで食品にウイルスが移り、その食品を食べることで感染します。
施設やホテルの宴会場などでの集団感染が報告される例が多いのは、こうした事情からです。調理者はもちろん調理前には手を洗っているはずですが、流水と石けんで丁寧に洗わないと、ウイルスは落ちません。
1.ノロウイルスの症状
激しい腹痛、嘔吐、下痢、発熱、吐き気などが起こります。初期の風邪やインフルエンザの症状とも似ています。感染してから発病するまでの潜伏期間は、平均1~2日(短くて数時間から数日)。
通常は軽症で、症状が1~3日続いて回復します。しかし要介護高齢者や糖尿病などの病気がある人が発病すると重症になることがあります。
2.高齢者のリスク
ノロウイルスにはインフルエンザのようなワクチンはありません。感染してしまったら、下痢や吐き気は薬で抑えず、ウイルスを体外に出して症状がおさまるのを待ちます。その間、下痢や発熱で体力を消耗するので、脱水を防ぐため十分な水分補給を行います。
3.予防法
- ノロウイルスは熱に弱いため、食品からの感染を防ぐためには、食材によく火を通して調理します。
- 包丁やまな板などの調理器具の消毒を徹底します。ふきんなどは熱湯で1分以上の加熱消毒も有効です。
- 排泄物や吐しゃ物は絶対に素手では触らないこと。トイレの掃除も徹底しましょう。トイレや用具の消毒には、家庭用塩素系漂白剤が有効です。
- 一度感染すると、症状が改善しても1~4週間にわたって排泄物にウイルスが排出されるため、感染後は少なくとも1週間は症状が改善後も用便後は十分流水と石けんによる手洗いを行うことが重要です。