軽度者の原則自己負担化議論に向け、福祉用具の利用効果を調査―日本福祉用具供給協会

日本福祉用具供給協会は、6月3日、介護保険における福祉用具の必要性を広く訴えることを目的に、自主事業として実施した調査の報告書を公開した。
公開したのは、「利用している福祉用具の代替手段に関する調査報告書」と「『Zarit 介護負担尺度』を用いた福祉用具の効果検証に関する調査報告書」。

2018年制度改正に向け、財務省は軽度者の福祉用具原則自己負担化を主張しているが、同協会では、原則自己負担化は、利用者が福祉用具サービスの利用をあきらめ、閉じこもりなど不活発な状態や介護者の負担を増やし、介護費用の上昇につながるとして反対している。調査は、福祉用具介護費や介護者への影響などを検証することを目的に実施した。

「利用している福祉用具の代替手段に関する調査報告書」では、車いす、歩行器、多点つえ、手すり、特殊寝台の5種類の用具の利用実態調査を行い、利用できなくなることでの利用者の生活や介助者への影響、訪問介護サービスなど代替手段を利用することでの介護費用への影響を調査・検証した。 
その結果、車いすだと、利用できなくなった場合、通院以外の外出はあきらめる利用者が多いことがわかった。また居宅内での生活場面でも、介助者を依頼する割合は、掃除、洗濯などで8割以上、トイレ・排泄、食事で6割近くになり、入浴・洗面、掃除などは訪問介護を依頼する割合が高くなった。
福祉用具が利用できなくなった場合に、他のサービスに代替される分の費用を試算したところ、車いすでは年間163億円~769億円、合計では年間1,370億円~3,556億円程度のコストアップになった。また、いずれの用具においても、利用できなくなることでのADL低下・QOL低下が予測された。

「『Zarit介護負担尺度』を用いた福祉用具の効果検証に関する調査報告書」は、福祉用具を継続的に利用しているケースでは、福祉用具を使用する前に比べて利用者の自立度が増し、介護負担が軽減されるとの仮説に基づき、調査・検証した。
利用者の自立度については、寝起きや離床動作ヘの援助や屋内での移動援助など8つの項目で、援助の度合いを「自立」0点から「全面援助」4点までの5段階で点数化し、福祉用具導入時と導入後3ヵ月とを比較したところ、6.4から5.2となり、全体として援助の度合いが低下したことがわかった。
介護負担度については、米国で開発され、介護負担を評価する方法として定着している「Zarit介護負担尺度」22項目を用いて分析した。負担に思う度合いを「思わない」の0点から「いつも思う」4点の5段階で点数化し、福祉用具導入時と導入後3ヵ月とを比較したところ、21.8から19.7へと減少し、全体としては負担が軽減される方向へ変化したことがわかった。

同協会では、これらの調査結果から、福祉用具貸与サービスは、軽度の要介護者にとってローコストながら高いQOLも維持でき、介護者の負担を軽減する効果の高いサービスであることが明らかになり、今後の介護保険制度改正の議論は、介護保険制度の理念である利用者の自立の観点からも、福祉用具の利用効果を踏まえて行われることを望むとしている。

◎日本福祉用具供給協会 利用している福祉用具の代替手段に関する調査報告書
https://www.fukushiyogu.or.jp/prg_data/topics/TP_0_1465278713.pdf

◎日本福祉用具供給協会 『Zarit 介護負担尺度』を用いた福祉用具の効果検証に関する調査報告書
https://www.fukushiyogu.or.jp/prg_data/topics/TP_2_1465278713.pdf

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