ケアマネから一目置かれた福祉用具事業者――部会発足講演会2

7月27日に開催された福祉用具事業経営部会発足記念講演会の後半では、「高齢者介護福祉用具住宅改修事業の効果を高める対策は何か」をテーマにシンポジウムが開かれ、満席となった会場では福祉用具事業者からケアマネジャーとの連携や赤字経営など率直な意見も聞かれた。

シンポジウムに先駆けて、事業者代表、大学教授、住宅改修アドバイザーなど4名のシンポジストらが前半の厚生労働省の土生振興課長に対して質問や意見を陳述し、それを踏まえた討論が行われた。

高校生の頃に障害を負ったと自己紹介したアビリディーズ・ケアネット株式会社取締役の松尾敬徳氏は、「自分自身が用具を使用していてよくわかるが、自分の身体に合ったものでなければ意味がない。福祉用具事業者の立ち位置はまだまだ低い。住宅改修についても病気の進行も考慮するような高いレベルの提案ができるよう師弟制度を構築すべき。国は介護従事者の処遇にばかり目配りしているが、福祉用具事業者も給付費削減には貢献している。発足した部会を通じて地位向上を訴えていきたい」と述べた。

国際医療福祉大学福岡リハビリテーション学部教授の齊場三十四氏は、「私たちの仕事は大事な仕事。福祉用具を利用者に渡すためには本当にその人の気持ちを考え、意欲が出てくるような用具を開発していかなくてはならない。利用者の尊厳を確保できる用具を作り出し普及させるとともに、それを担う質の高い人材育成が必要だ」と教育者の視野で訴えた。

質疑応答では、参加した事業者から「ケアマネジャーの権限が強い。福祉用具専門相談員ケアワーカーなど専門職同士が対等に意見を述べ合う力関係になってほしい」といった声があがった。

一方で、栃木県の福祉用具事業者は「ケアマネジャーに振り回される、力が強いという話を今聞いたが、取り組み次第だと思う。当事業所ではレンタルをやっていないが、他のレンタル事業者で適合が困難というケアマネジャーからの相談も受けている。たとえばリフトの適合をやってもレンタルを扱っていない当社では、つり具の販売だけで収入にはならないが、利用者に適合することが一番。収入を度外視して相談にのる姿勢がケアマネジャーから一目置かれ、信頼を得るようになった」と語った。

シンポジウムの司会を務めたNPO法人福祉フォーラム・ジャパンの伊東弘泰氏は「その利用者に適合することが重要なのに、それにつながる仕事が収入にならないのが問題。介護保険制度の中で報酬が欠落している。制度の中に組み込めるよう、きちんと行政側に説明できるよう現場の声を発信する会に成長したい」と部会発足の記念講演をまとめた。

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