高齢者・介護対応食品を製造・販売する日清オイリオグループ株式会社は、このほど、在宅介護に携わる介護従事者100名を対象に実施した『要支援・要介護者の筋力に関する実態調査』の結果を発表した。
調査の結果、要支援・要介護者の92%に筋力の衰えが見られる一方で、自発的に身体を動かしている要支援・要介護者は33%と少数であることがわかった。
また、筋肉量の減少を示す「サルコペニア」を認知している介護従事者は19%と少なかった。サルコペニアは狭義では加齢にともなう筋肉量の低下、広義ではすべての原因による筋肉量・筋力・身体機能の低下を意味する。筋肉量・筋力ともに低下すると、日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)の低下、身体機能の低下により疲れやすくなるだけでなく感染症にかかりやすくなり、最終的には死のリスクが高くなる。
さまざまな健康障害を招くサルコペニアの対策について、要支援・要介護者の家族はもちろん、介護従事者への啓発も急ぐ必要があるだろう。
【調査の概要】
■調査実施日 :2013年11月29日(金)~12月4日(水)
■調査方法 :インターネット調査
■調査対象者 :60歳以上の要支援・要介護者の在宅介護に携わっている介護従事者(訪問介護員・介護福祉士)100名
主な調査の結果は、以下のとおり。
「要支援・要介護者の筋力の衰えを感じることはあるか」という質問では、介護従事者の92%が要支援・要介護者の筋力の衰えを「感じる」と回答し、ほとんどの要支援・要介護者に筋力の低下が見られることがわかった。
次いで、要支援・要介護者の運動習慣(身体を動かすこと)について、「自発的に身体を動かしている」と回答した介護従事者は33%と少数で、3人に1人しか自発的に身体を動かしてないという結果だった。筋力が衰えながらも、積極的に身体を動かしている要支援・要介護者は少ないと思われる。
「サルコペニア」について、言葉の意味まで理解している介護従事者はわずか19%、肥満により筋肉量が減少している「サルコペニア肥満」については13%とさらに少なく、介護従事者であっても、「サルコペニア」の概念が広く浸透していない現状が明らかになった。
要支援・要介護者の筋肉をつけるための食事の工夫・アドバイスでは、「食べやすいように、やわらかさを考慮する」(42%)、「1食に提供する料理の品数を増やす」(31%)、「少量で高エネルギーの食事がとれるような献立の工夫をする」(30%)など、しっかりと食べるための工夫やバランス良く食べるための工夫が上位を占める一方で、筋肉をつけるために必要なエネルギーやたんぱく質が多く含まれた補助食品の利用を勧めている介護従事者は、わずか15%にすぎなかった。
【専門家のコメント】
若林 秀隆 横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション科助教
「サルコペニア対策として、最も重要なのは運動(筋力トレーニング、有酸素運動)と栄養(十分なエネルギーとたんぱく質摂取)の併用です。運動面では、ご家族やヘルパーの助言があれば身体を動かしているという方が最も多いので、適切な運動のアドバイスを実際に現場で行うことが大切です。栄養面では、エネルギーとたんぱく質が多い補助食品の利用が簡単で効果的ですので、より多くの介護従事者に現場でアドバイスしていただきたいと考えます」
◎日清オイリオグループ株式会社
http://www.nisshin-oillio.com/index.html