<厚労省新事業>専門外の医師や看護師にも認知症研修を――全国担当課長会議

厚生労働省は、3月11日、全国介護保険高齢者保健福祉担当課長会議を開催した。

当日は、全国の都道府県および政令指定都市等から担当者が一同に会し、平成25年度の介護保険事業計画等について、担当者から説明がなされた。

初めに、昨年秋に就任したばかりの原老健局長が挨拶。その後、総務課、介護保険計画課、高齢者支援課、認知症虐待防止対策推進室、振興課、医政局指導下在宅医療推進室、老人保健課、介護保険指導室、そして最後に内閣府の各担当課長から、平成25年度の事業計画等の説明があった。

■予算の99%は介護給付費
あらゆる政策、事業は当たり前だが、まず予算ありきであり、平成25年度の老人保健福祉関係予算は、平成24年度の6.3%増で2兆5,842億円。このうち、国が50%負担する「介護給付費負担金」を含む「安定的な介護保険制度の運営」が、予算の99%近くを占める。残りわずか302億円が、オレンジプランなどの認知症施策や地域における介護基盤の整備、東日本大震災の復興支援などの新たな施策に費やされる。

平成25年度は、2015年に実施される第6期介護保険事業計画へ向けての中継ぎの年度ではあるが、今年度予算のうち、一部新規事業として計上されている認知症関連事項(予算34億円)のなかから、ケアマネジャーが抑えておくべき点を解説する。

■65歳以上の10人に1人は認知症
まず、現在の認知症高齢者数であるが、平成24年(2012年)時点の「認知症高齢者の日常生活自立度」II以上(行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意すれば自立できる状態)の高齢者数は305万人。この数字は65歳以上の約10%にあたり、高齢者の10人に1人は認知症ということになる。

以後、5年ごとに10%ずつ増加し、団塊世代が後期高齢者となる2025年年には470万人になるとみられている。
このように早いペースで認知症の人が増える原因として、長寿になり後期高齢者が増えたこと(長生きするほどリスクは高まる)、診断精度が上がり、認知症と認定される人が増えたことなどが挙げられる。

2010年時点での認知症高齢者280万人のうち、半数の140万人は在宅で生活しており、次いで多いのは特養で41万人が、医療機関(精神科病棟含む)に38万人が、老健では36万人が生活している。

ケアマネジャー調査などで、認知症診断ができる医師が少ない、家族がかかりつけ医に相談しても「トシのせい」で終わりになるという話をよく耳にする。認知症の確定診断は、厳密には脳のCTを撮影する必要があるが、いくつかの簡単な認知機能テストでも十分判定可能であり、認知症は専門外の地域に身近な「かかりつけ医」でも、認知症を正しく理解し、判断できることが望まれる。

■専門外の医師や看護師にも認知症研修を
そこで、平成25年度の新規事業では、一般病院勤務の医師、看護師等の医療従事者向け認知症対応力向上研修事業を実施する。

地域の内科医など、かかりつけ医として位置づけられている一般病院勤務の医療従事者にも、認知症への理解を高めてもらい、認知症の人や家族を支えるために必要な基本知識を習得し、対応力を高めるのが目的。
認知症対策等総合支援事業では、これまでにも「かかりつけ医認知症対応力向上研修」「認知症サポート医養成研修」「認知症サポート医フォローアップ研修」を実施しているが、今回は、「一般病院勤務の医師、看護師等の医療従事者向け」が加わった。
これで、地域のかかりつけ医だけでなく、看護師ほか医療従事者も認知症に対する対応力が強化され、「トシのせい」などと、見当違いのことを言い、苦しんでいる本人や家族を傷つけるような医療従事者が減ることを祈るばかりである。

◎厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/

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