社会保障・税一体改革素案(案)より介護・医療分野を抜粋

厚生労働省は12月30日、社会保障・税一体改革関係5大臣会合を開催した。その際に配布された当日の資料より、医療介護サービスに関連する部分を抜粋して紹介する。

これを読むと、「居宅生活の限界点を高める」、「在宅生活時の(中略)看取りへの対応強化」など、「終末期介護をなるべく在宅で」という国の方針がよりはっきりとした言葉で表現されていることがわかる。また、「ケアラー(家族介護者)に配慮したケアマネジメントの強化」など、家族介護者のレスパイトを含む配慮を求める動きも見られる。

介護保険介護の社会化は実現したが、家族に求められる負担はいっそう大きくなり、なにより「病院や施設はいっぱいだから最期は家で」という方針が、果たして本当に理想の社会保障の形なのか。あるいは、独居高齢者の増加を見込んだ上で、「施設は独居の人でいっぱいだから家族がいる人は家でよろしく」ということなのか。思わず深読みしたくなる内容となっている。

■社会保障・税一体改革素案(案)

第1部 社会保障改革

第2章 社会保障改革の方向性

2. 医療介護サービス保障の強化、社会保険制度のセーフティネット機能の強化

高度急性期への医療資源集中投入など入院医療強化、地域包括ケアシステムの構築等を図る。
どこに住んでいても、その人にとって適切な医療介護サービスが受けられる社会を目指す。

第3章 具体的改革内容(改革項目と工程)

2.医療介護等(1)
(地域の実情に応じた医療介護サービスの提供体制の効率化・重点化と機能強化)
高齢化が一段と進む2025 年に、どこに住んでいても、その人にとって適切な医療介護サービスが受けられる社会を実現する。
○ 予防接種・検診等の疾病予防や介護予防を進め、また、病気になった場合にしっかり「治す医療」と、その人らしく尊厳をもって生きられるよう「支える医療介護」の双方を実現する。

(2)地域包括ケアシステムの構築
○ できる限り住み慣れた地域で在宅を基本とした生活の継続を目指す地域包括ケアシステム(医療介護、予防、住まい、生活支援サービスが連携した要介護者等への包括的な支援)の構築に取り組む。

<今後のサービス提供の方向性>

1. 在宅サービス・居住系サービスの強化
・ 切れ目のない在宅サービスにより、居宅生活の限界点を高めるための24 時間対応の訪問サービス、小規模多機能型サービスなどを充実させる。
・ サービス付き高齢者住宅を充実させる。

2. 介護予防・重度化予防
要介護状態になる高齢者が減少し、自立した高齢者の社会参加が活発
化する介護予防を推進する。
・ 生活期のリハビリテーションの充実を図る。
ケアマネジメントの機能強化を図る。

3. 医療介護の連携の強化
・ 在宅要介護者に対する医療サービスを確保する。
・ 他制度、多職種のチームケアを推進する。
・ 小規模多機能型サービスと訪問看護の複合型サービスを提供する。
・ 退院時・入院時の連携強化や地域における必要な医療サービスを提供する。

4. 認知症対応の推進
認知症に対応するケアモデルの構築や地域密着型サービスの強化を図る。
・ 市民後見人の育成など権利擁護の推進を図る。
☆ 改正介護保険法の施行、介護報酬及び診療報酬改定、補助金等の予算措置等により、地域包括ケアシステムの構築を推進する。

(3)その他
○ 診療報酬・介護報酬改定、補助金等予算措置等により、以下についても、取組を推進する。
・ 外来受診の適正化等(生活習慣病予防等)
ICTの活用による重複受診・重複検査、過剰な薬剤投与等の削減
介護予防・重度化予防
介護施設の重点化(在宅への移行)
・ 施設のユニット化
・ マンパワー増強

<平成24 年度の主な関連施策等>
(1)診療報酬・介護報酬改定
○ 診療報酬及び介護報酬改定において、以下に取り組む。

2. 平成24 年介護報酬改定の基本的考え方
a. 地域包括ケアシステムの基盤強化
高齢者自立支援に重点を置いた在宅・居住系サービス
要介護度が高い高齢者医療ニーズの高い高齢者に対応した在宅・居住系サービス
b. 医療介護の役割分担・連携強化
○ 在宅生活時の医療機能の強化に向けた、新サービスの創設及び訪問看護リハビリテーションの充実並びに看取りへの対応強化
介護施設における医療ニーズへの対応
○ 入退院時における医療機関と介護サービス事業者との連携促進

c. 認知症にふさわしいサービスの提供
認知症早期診断・対応体制の確立と認知機能の低下予防
認知症にふさわしい介護サービス事業の普及 等
d. 質の高い介護サービスの確保
e. 処遇改善等を通じた介護人材の確保
f. その他
ケアラー(家族介護者)にも配慮したケアマネジメントの機能強化、看取りや認知症への対応などの課題への的確な対応等

(中略)
(4)改正介護保険法の施行
○ 地域包括ケアシステムの構築など、「社会保障・税一体改革成案」で掲げられた介護のサービス提供体制の機能強化を推進する観点から、平成23年通常国会で成立した介護サービスの基盤強化のための介護保険法等一部改正法を円滑に実施する(24 時間対応の定期巡回・随時対応型サービス等)。

3.医療介護等(2)(保険者機能の強化を通じた医療介護保険制度のセーフティネット機能の強化・給付の重点化、低所得者対策)

(6)介護1号保険料の低所得者保険料軽減強化
○ 今後の高齢化の進行に伴う保険料水準の上昇や消費税引上げに伴う低所得者対策強化の観点を踏まえ、公費を投入することにより、65 歳以上の加入者の保険料(1号保険料)の低所得者軽減を強化する。
☆ 具体的内容について検討する。税制抜本改革とともに、平成24 年通常国会への法案提出に向けて、関係者の意見を聴きながら検討する。

(7)介護納付金の総報酬割導入等
○ 今後の急速な高齢化の進行に伴って増加する介護費用を公平に負担する観点から、介護納付金の負担を医療保険者の総報酬に応じた按分方法とすること(総報酬割の導入)を検討する。
また、現役世代に負担を求める場合には、負担の公平性などの観点に立ち、一定以上の所得者の利用者負担の在り方など給付の重点化についても検討する。
(注)現行は、介護納付金は各医療保険の40〜64 歳の加入者数に応じて按分されている。
☆ 平成24 年通常国会への法案提出に向けて、関係者の意見を聴きながら検討する。

(8)その他介護保険の対応
○ 軽度者に対する機能訓練等重度化予防に効果のある給付への重点化の観点から、平成24 年度介護報酬改定において対応する。
○ 第6期の介護保険事業計画(平成27 年度〜平成29 年度)の施行も念頭に、介護保険制度の給付の重点化・効率化とともに、予防給付の内容・方法の見直し、自立支援型のケアマネジメントの実現に向けた制度的対応を検討する。

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