厚生労働省は5月12日、「第6回社会保障改革に関する集中検討会議」においてあるべき社会保障の姿と方向性を示した。同会議は5月末に必要な財源規模を含めた案をまとめ6月中に税制改革も合わせた一体改革案を打ち出す。
方向性は、「世代間の公平」「全ての人が参加できる社会」「多様な主体の連携・協力による地域包括システム」「安心に基づく活力のための新成長戦略の実現」の4つが掲げられている。
改革案は、非正規雇用労働者の増加などで国民皆保険・皆年金に「揺らぎ」が生じているとし、現行制度の「手直し」の必要性を強調。低所得者対策としては、医療や介護、保育費などの自己負担の総額に世帯ごとの上限額を設ける「総合合算制度」(仮称)を打ち出して家族の社会保障負担を抑える意向を示した。
東日本大震災からの復興についても1章を割き、高齢者が地域に暮らしつつ医療や介護、生活支援を一体的に受けられる「地域包括ケアシステム」を被災地に先駆的に導入し、安心地域モデルとする構想を示した。
介護サービス改革については、効率化、重点化と機能強化を図るとし、以下の4点を挙げた。
1)24時間安心のサービス提供を可能とする地域包括ケアシステムの確率とケアマネジャーの資質向上等のケアマネジメントの機能強化。
2)在宅サービスの充実・強化やサービス付き高齢者住宅等の居住系サービスの整備など、要介護者の増加に対応した介護サービスの量的拡充を通じて、特別養護老人ホームの待機者解消を図る。
3)軽症者への予防事業、リハビリテーションの重点的提供等を通じた介護予防及び重症化予防への重点化。
4)介護職員等の人材確保と資質向上のためのキャリアパスの整備、処遇改善等。
また、介護保険制度の改革としては、医療保険と併せて、セーフティネット機能の強化、給付の重点化を提言した。
1)働き方にかかわりなく、同じセーフティネットを提供する観点から、非正規労働者への被用者への被用者保険の適用拡大を図る。
2)市町村国保財政の広域化と低所得者対策の強化。
3)保険者機能の強化、高齢者医療費・介護費に係る高齢世代と現役世代の公平な負担。
さらに、利用者の視点に立っての、規制・制度改革にも積極的に取り組むと共に、持続可能性を確保する視点から、保険給付の重点化を行うことも打ち出した。そして、介護予防・重症化予防の推進、介護ロボットの開発など、制度運営に当たっての効率化も掲げている。