4月13日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会では、「東日本大震災における介護保険制度等の対応について」と「平成24年度介護報酬改定に向けて」という2つの議題について議論が行われた。
このうち、診療報酬との同時改定となる平成24年介護報酬改定に関しては、「改定に向けて、どういう点を重点に議論すべきか」をテーマに、各委員から、一人2分程度で要点を絞った意見が寄せられた。
まず、厚生労働省担当者が、今後のスケジュールを紹介。
「夏頃までに基本的視点に沿った議論を行うとともに、分科会に参加していない団体のヒアリングを行い、秋頃には介護事業経営実態調査の結果を踏まえて個別点数について議論。改定率が固まり次第、取りまとめの議論に移り、1月に審議報告を取りまとめる予定です」と説明した。
各委員からの主な意見は下記の通り。
○馬袋秀男委員(民間介護事業推進委員会代表委員)
「今、求められているのは、地域で包括したサービスを提供できる体制。これを実現するために、チームケアのマネジメント部分を評価することを検討してほしい」
○田中滋委員(慶應義塾大学大学教授)
「地域包括ケアを推進するには、システムが必要。システムは、個別のサービスの整備だけではできません。個別のサービスを連動させるマネジメント力、コーディネート力が必要」
○山田和彦委員(全国老人保健施設協会会長)
「介護職員処遇改善交付金を、全体の処遇が改善できるよう介護報酬に組み込んでほしい。2020年の介護保険施設のあり方をきちんと提案することが必要で、維持期のリハビリテーション、認知症、在宅支援が大きなポイントとなる」
○三上裕司委員(日本医師会常任理事)
「介護職員処遇改善交付金を介護報酬に組み込む場合は、改定率と別枠にしていただかないと複雑になる。介護施設での医療のあり方に関しては、本当に外付けがいいのかという議論も必要。また、東日本大震災を受けて、改定をこの時期に行うことが適切なのかということも改めて議論すべきではないか」
○井部俊子委員(日本看護協会副会長)
「複合型サービスの推進に向け、安全かつ実効性のある仕組みとして実現できるように議論を重ねる必要がある」
○池田省三委員(龍谷大学教授)
「今回の大震災、原発事故はまだ終わっていない。社会構造そのものを見直さなければならなくなっている。要らないサービスは要らないし、必要なサービスは絶対に必要と、仕分けることが何より重要」
また、田中滋委員からは「おまけです」との前置きのもと、「定期巡回・随時対応訪問介護看護という名前は絶対によくない。介護支援専門員をケアマネと呼ぶように、良い名前を考えたいですね」と一言。会場から笑いが起こる場面もあった。
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