地域包括ケアシステムは2025年の頂上の姿――東社協セミナーリポート1

社会福祉法人東京都社会福祉協議会センター部会は、2月23日、「介護保険制度改正と地域包括ケア体制の実現フォーラム 〜大都市東京に求められる体制や課題を考える〜」を開催した。

まず、登壇したのは、社会保障審議会護給付費分科会の委員であり、医療政策や高齢者ケア政策、医療経済学を専門とする、慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授の。田中滋氏として、厚労省でも常に重要な発言をしている。

厚生労働省の平成20年度老人保健健康増進等事業「地域包括ケア研究会」の座長を務めていた田中氏は、まず、地域包括ケアシステムとは、高齢者のみならず、障がい者や妊婦、子どもなど、何らかのヘルプが必要な人を対象に、「社会の安定のため」を目的としていることを強調。

さらに、この地域包括ケアを提供するための前提として、まず「自助」があり、家族や地域住民同士の「互助」があり、それでもカバーできない部分を社会保険などの「共助」で支え、そこからもこぼれ落ちる生活困窮者を「公助」で救う、という役割分担の確立が必要であることを説明した。

このうちの「共助」にあたる介護サービスの体系については、住居の形態にかかわらず、地域の中で介護保険サービスを提供するという発想に立った場合、「施設・在宅・居住系(を区分する現行のサービス体系)でよいか」と疑問を投げかけた。
さらに、「地域シェア単位の支払も考えられるのではないか」とも指摘。「たとえば、地域の100人にサービスを行っていることに対して、個別に報酬を支払うのではなく、『月間いくら』という形での支払いも考えている」と、例を挙げて説明した。

また、地域包括ケアシステムでは、「ニーズに応じた住宅が提供されること」が基本にあり、その上で生活上の安全・安心・健康を確保することを提案している。
そうした意味から、施設では医療サービスを外付けで利用し、病院では介護事業者による外付けサービスを利用、また、リハビリテーションサービスも外付け化するなど、その人が生活する場で適切なサービスが利用できるような体制が必要であることを強調した。

さらに、田中氏は、「介護保険が始まった後も、本来、必要なのに使えていないのが看護リハビリテーション」と指摘。
「研究会の報告書で看護サービスとリハビリテーションを強調したのは、他よりも重要性が高いということではなく、他のサービスよりも不足しているから」と語った。

このほか、講演の冒頭には、次のように、地域包括ケアシステムは、今すぐに実現すべきものではなく、2025年を見据えた「頂上の姿」であることを説明。

「『地域包括ケアシステムが簡単にできますか?』とよく聞かれますが、今、できていなくてもいいのです。ただし、団塊の世代が75歳を過ぎたときに仕組みを作っておかなければもたないので、ゴールとして、2025年の頂上の姿を決める必要があります」(田中氏)

医療とかかわりの深いサービスは、ケアマネジャーにとって今後、連携を深めていかなければならない分野だけに、田中氏の指摘にあるよう、今後時間をかけて地域包括ケアに取り組んでいく必要があるようだ。

――東社協セミナーリポート2へ続く

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