平成最後の年となる2019年が始まった。今年は、新元号の幕開けと消費税率の引き上げという二大イベントが控えているが、これ以外に実は、ケアマネジャーの将来を左右する大きなテーマも動きだす。今年、ケアマネジメントをめぐる動向はどうなるのか―。1年の大まかな予定をまとめた。
今月中にも正式決定するのが、10月の消費税率の引き上げに向けた介護報酬改定の中身だ。改定案を作成する厚生労働相の諮問機関、社会保障審議会介護給付費分科会が、根本匠厚労相に改定案を答申する見通しとなっている。
改定案の最大の注目点は、勤続10年以上のベテラン介護福祉士を中心とした、新たな処遇改善加算の新設だ。新加算は、▽経験と技能のあるベテラン介護職員▽他の介護職員▽介護職員以外の職種―の順に報酬が下がる傾斜配分の仕組みが設けられ、対象をどこまで広げるかは、事業所側の裁量に委ねられる。
ケアマネの賃上げの可能性も残されているが、居宅介護支援事業所は対象から外れる方向だ。介護職員以外の職種について厚労省側は、▽平均賃上げ額を他の介護職員の2分の1未満に抑える▽給料引き上げ後の年収が全産業平均(役職者を除く)の440万円を下回る―という2つの“縛り”をかける方針も示しており、施設のケアマネが恩恵を受けられるかどうかは不透明な情勢となっている。
■特定事業所加算(IV)の算定開始へ
4月には、昨年春の介護報酬改定で新設された「特定事業所加算(IV)」(月125単位)の算定が始まる。
この加算は、同加算(I)~(III)を算定している事業所に報酬を上乗せするもので、▽「退院・退所加算」における主に病院・有床診療所との連携回数が35回以上▽「ターミナルケアマネジメント加算」の算定回数が5回以上―の両方の要件をクリアする必要がある。
連携回数と算定回数の実績は、前年3月から翌年2月の12カ月間となるが、19年度については、▽18年3月の「退院・退所加算」の算定回数と同年4月~19年2月の同加算における連携回数の合計が35回以上▽18年4月~19年2月の「ターミナルケアマネジメント加算」の算定回数が5回以上―の両方を満たせば良いことになっている。
■AI活用、“ケアプラン有料化”の議論も
ケアマネの将来を左右する大きなテーマも動きだす。政府が18年12月に決定した社会保障改革の新たな工程表では、▽いわゆる“ケアプラン有料化”▽AI(人工知能)を活用したケアプラン作成支援▽ケアマネの業務の在り方―の3つのテーマについて、19年度中に検討を始めるよう厚労省側に求めている。
議論の主戦場となるのは、社会保障審議会介護保険部会だ。話し合いの結果次第では、21年度に予定されている介護保険制度の改正で何らかの措置が講じられる可能性もあるので、ぜひ注視してほしい。