【解説】介護報酬の消費税対応、今後の注目点は?

来年10月、先延ばしになっていた消費税率の引き上げが行われる。その引き上げに向け、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会)では、臨時の介護報酬改定の実施を見据えた検討が始まった。今後の議論で、特に注目されるポイントについて解説する。

来年10月の消費税率引き上げは、現在の税率から見て2%分の引き上げとなる。一般的なサービスや商品であれば、この2%分を価格に上乗せするだけで済む。ただし介護報酬の場合、そうした対応では乗り切れない。

■「非課税」と「課税」が入り混じる介護保険サービス

介護報酬の対象となる介護保険サービスでは、「課税対象」と「非課税」が入り混じっているからだ。

例えば、訪問介護デイサービス特養老健グループホームなどの介護保険サービスそのものについては、消費税は課税されない。もちろん、居宅介護支援も非課税だ。しかし、福祉用具貸与住宅改修は消費税の課税対象となる。

同じサービスの中でも、「非課税」と「課税」が入り混じっていることも多い。例えば、訪問入浴介護サービスそのものは非課税だが、浴槽で使うお湯の料金は課税対象だ。また、介護保険施設に入る場合、利用者が自分で部屋を指定して入居すると、その室料は課税される。

さらに介護事業者は、物品購入などで支払う消費税分を介護報酬によって手当されている。

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こうした現状があるため、消費税の引き上げ分を介護報酬に上乗せする際には、まず、課税対象となっているサービスがどのくらいあるかを把握する必要がある。仮に課税割合の違いを無視し、税率引き上げ分の単位を一律に上乗せすると「サービスによっては、過分な給付が生じる可能性が高い」(厚生労働省関係者)。

分科会では、2017年度の介護事業経営実態調査のデータを分析し、各サービスでの課税と非課税の割合を把握する予定だ。課税の割合が高いほど、消費税率引き上げに伴う報酬の上乗せも多くなる。来年10月の臨時報酬改定に向けた各サービスの課税割合は、今年秋の分科会で示される見通しだ。

なお、今月4日の分科会では、消費税率8%の引き上げに合わせた4年前の臨時介護報酬改定の際に用いられた各サービスの課税割合が参考資料として提示された=表=。



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■注目ポイントは「区分支給限度基準額」の扱いなど

そのほか、消費税率引き上げへの対応に合わせて行われる臨時報酬改定では、次の項目について、どのような対応が講じられるかが注目される。

・区分支給限度基準額(限度額)
介護保険施設の平均的な食費や居住費(基準費用額)
・高額な設備投資に伴う消費税負担についての対応。特に介護報酬とは別建てで対応するかどうか

消費税引き上げに合わせ各サービスの単位が上乗せされると、従来と同じようにサービスを使っていても、区分支給限度基準額を超える可能性がある。そのため4年前の臨時報酬改定では、限度額も引き上げられた。ただし4日の分科会では、厚労省は限度額での対応を主な論点に含めなかった。

その一方、来年10月に向けた論点として厚労省が示したのは、基準費用額と高額な設備投資に伴う消費税負担への対応だった。特に高額な設備投資に伴う消費税負担については、4日の同分科会でも「報酬とは別建てで対応すべき」とする意見が出た。ただ、基準費用額への対応も、高額な設備投資に伴う消費税負担への対応も、4年前の臨時報酬改定では実施を見送られた経緯がある。

今後、分科会では9月から11月まで、関係者へのヒアリングなどを実施する。来年10月の臨時の介護報酬改定を見据えた審議報告が取りまとめられるのは、今年の年末となる予定だ。改定に合わせて限度額は引き上げられるのか。また、高額な設備投資に伴う消費税負担については、どのような形で対応するのか―。今後の分科会の動向が注目される。

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