自民党の「人生100年時代戦略本部」(本部長・岸田文雄政調会長)は、年齢を前提とした「高齢者」の定義や名称の見直しなど、社会保障の抜本改革に向けた提言をまとめ、安倍晋三首相に提出した。
今回の提言は、総人口の半数超が50歳以上となる2024年を見据えたもので、事務局長を務める小泉進次郎筆頭副幹事長が主導した。定年のない「エイジフリー社会」の構築に向け、来年末までに社会保障の抜本的な改革案とその工程表を作成し、順次実現するよう政府側に求めている。
医療費の窓口負担については、世代間の公平性の観点から、年齢ではなく、「経済力」に応じた負担に見直すよう求めた。具体的には、70歳以上になると、現役並みの所得がなければ負担割合が1-2割となる現行の方式を見直し、将来的に全世代で3割負担とし、所得に応じて負担割合を下げる仕組みに改める。できるだけ長く健康を維持し、社会参加を促すため、疾病予防や健康管理などへのインセンティブを強化することが重要だとしている。
また、年金を受け取りながら働く高齢者も増える中、世代間の公平性などを考慮し、公的医療・介護保険制度における「現役並み所得」の取り扱いを見直すよう要望。介護保険については、「高齢者扱いしない仕組みを目指し、お世話するよりも自立支援を目指す改革を行う」としている。
さらに、AI(人工知能)やロボットなどの技術革新によって、医療と介護のコストの構造的な変化を促し、サービスの効率化などにつなげる視点から、規制の緩和や制度の見直しを進めることも提言した。