みずほ情報総研株式会社が、認知症の人の預貯金や財産の管理について調査したところ、成年後見制度を利用しているケースは全体の6.4%に留まり、「成年後見制度のことは知っているが利用するつもりはない」との回答が55.4%を占めた。
認知症の人の預貯金や財産の管理に対する社会的な支援として、成年後見制度などの仕組みが整えられている。しかし、必要と推測される人数に比べて利用者は少なく、現状では家族や親族が支えていると考えられる。本調査は、支援の実態やニーズなどを明らかにすることを目的に、預貯金や財産管理の支援経験がある家族や親族2,000名を対象に行った。
それによると、認知症の人の預貯金や財産の管理を支援することになった理由で最も多かったのは、「ATMの操作・利用が難しくなった」で48.5%と約半数を占めた。貯金や財産の管理の方法で最も多かったのは「ATMによる預貯金の管理(本人の代理として実施)」で59.8%、その内容は「50万円未満の預貯金の引き出し」が76.9%で最多だった。
また、預貯金や財産の管理を支援する上で「とても負担を感じる」ことを訊ねたところ、回答した人の割合が高かったのは「本人にわかるように説明すること」(22.5%)だった。尚、この回答は本人の預貯金や財産の管理に対する考え方や希望を「ほぼ把握できている」場合は20.7%だったのに対し、「把握できていない」場合は40.5%と約2倍に増加した。
支援に難しさを感じた際に相談できる相手として回答した割合は、家族や親族以外では「ケアマネジャー・地域包括支援センター職員など介護の専門職」が35.3%で最も多く、次いで「金融機関の職員」が29.8%だった。その一方、「弁護士・司法書士など法律の専門職」は10.1%にとどまった。
これらの結果から、成年後見制度の利用促進では支援者の視点も十分に取り入れること、認知症を発症する前の早い段階から財産管理について考える機会をもつよう啓発することなどが必要、とまとめている。
◎みずほ情報総研
https://www.mizuho-ir.co.jp/company/release/2017/ninchisho0519.html