タカナシ乳業株式会社は、アミノ酸含有ゼリー摂取が高齢者の栄養状態や運動機能の改善に役立つ可能性が明らかになったと発表した。
アミノ酸研究の第一人者の大谷勝博士、医療法人社団三聖会三聖病院および明日佳グループとの共同研究による。
研究では、低栄養の寝たきり高齢者および通所リハビリテーションに通う高齢者それぞれを対象に、必須アミノ酸であるBCAAとアスパラギン酸を含むアミノ酸含有ゼリーを用いた臨床試験を実施した。アミノ酸含有ゼリーは高齢者の嗜好性が高いコーヒー味で、カフェインによる影響を受けないカフェインレスとした。
まず、経皮内視鏡的胃ろう造設術を行った5名を含む、低栄養(血清アルブミン値3.8 g/dL 以下)の平均年齢88.4歳の寝たきり高齢者15名にアミノ酸含有ゼリーを1日2個、2ヵ月間摂取してもらい、試験前後の体重を比較した。その結果、入院高齢者全体では試験前後で体重が維持され、胃ろうを造設した5名を抽出して解析したところ、平均体重が有意に増加した。
もうひとつの試験では、通所リハビリセンターに通う平均年齢76.3歳の15名を2群に分け、アミノ酸含有ゼリー、もしくは非アミノ酸含有ゼリーを1日2個4週間摂取してもらい、 リハビリテーションを通常通り実施し、身体組成測定および歩行能力などの機能的移動能力テストを実施した。その結果、アミノ酸含有ゼリーを摂取した7名では、非アミノ酸含有ゼリーを摂取した8名と比較して、全身筋肉量の平均変化量が増加する傾向があったが、機能的移動能力テストの変化量に有意な差はなかった。 しかし、全身筋肉変化量と機能的移動能力テストの変化量の相関を解析したところ、試験前後の全身筋肉変化量が増加すると機能的移動能力テストで計測する時間が有意に短縮することで、運動機能が改善されることが示された。
これらの結果から、アミノ酸ゼリーの摂取が高齢者の健康状態の維持や改善に役立つ可能性があることがわかった。
◎タカナシ乳業株式会社 リサーチレポート
http://www.takanashi-milk.co.jp/wp-content/uploads/2016/12/20161215.pdf