大阪大学保健センターの工藤喬教授および日本電信電話株式会社コミュニケーション科学基礎研究所山下直美主任研究員らの研究グループは、うつ病患者の家族介護者への支援ウェブアプリ「みまもメイト」を開発した。
(みまもメイト)
うつ病は年々増加の一途をたどっており、わが国の大きな社会問題となっている。また、家族介護者に多大な負担がかかり、身近な人が二次的な精神変調をきたすケースもある。さらには、患者と家族の関係が悪化し、病を深刻化させるといった悪循環もしばしば見受けられる。
また、家族介護者は患者の症状に振り回される負担感から、病態に対する認知がネガティブに、矮小に傾く傾向がある。
そこで、「みまもメイト」では、
(1)家族介護者が、患者の言動・健康状態と介護活動を日々、客観的に記録
(2)過去の記述をチャートにして閲覧する
(3)他の家族介護者の記述を閲覧できる
といった機能を搭載し、患者と家族介護者のコミュニケーションを活発にし、患者の状態を時系列で把握することを可能に。さらに、他の家族介護者の記載と比較、観察することによって、多方面から客観的に患者を捉えることができる。
結果的に、患者やうつ病に対してネガティブに偏りがちな家族介護者の考え方(認知)を、適正化することができ、負担軽減につながることがわかった。
さらに、「みまもメイト」を使用した成果として、家族介護者に「患者に対する注意力の向上」「患者の言動に対する理解」「具体的な対応方法の発見」が生じることが確認され、患者のうつ病自体の症状改善にもつながることが明らかになった。
本研究成果は、第16回日本認知療法学会で11月25日(金)に発表される。
◎大阪大学
http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2016/20161115_1