新潟大学、大阪大学、国立循環器病研究センターの共同研究(吹田研究)によって「咀嚼能率」の低下とメタボリックシンドロームとの間に関係があることが世界で初めて明らかになった。
動脈硬化性疾患(脳卒中、虚血性心疾患)は、わが国の死亡原因の第2位を占めている。その予防策として、肥満、血圧高値、高血糖、血清脂質異常などのリスク因子を包括した「メタボリックシンドローム」という疾患概念を基準にした特定健診制度が行なわれているが、効果は十分とはいえない状況にある。
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研究は住民台帳から無作為抽出された50〜70歳代の1,780名を対象に実施。専用に開発されたグミゼリーを30回噛んで増えた表面積を算出する方法を用いて咀嚼能率を測定し、同時に年齢、性別、飲酒、喫煙、歯周病などを調整した多変量解析を行って咀嚼能率とメタボ罹患率との関連性を分析した。
対象者を咀嚼能率によって4つに分けると、全体では、最も咀嚼能率の高い群と比較して下から2番目の群でメタボリックシンドローム有病率が1.46倍となった。また、70歳代に限ると、咀嚼能率が低下したすべての群で1.67~1.90倍メタボリックシンドローム有病率が高かった。
本研究の結果より、咀嚼能率を測ることでメタボのリスクが評価できる可能性が示され、動脈硬化性疾患予防における新しい医科歯科連携の戦略に繋がることが期待される。
◎国立研究開発法人国立循環器病研究センター
http://www.ncvc.go.jp/pr/release/20161109_press.html