高齢者の10人に1人が低栄養を自覚していることが、生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研の調査レポートでわかった。
エネルギー量やたんぱく質などの栄養素が不足する「低栄養」は、高齢者の介護リスクを高める要因のひとつになると考えられている。調査は、70歳以上の男女300名と、高齢者と同居し、食事を提供している40~60代女性300名を対象に行った。
70歳以上の高齢者に「低栄養」を知っているかを訊ねたところ、21%が「知っている」と回答した。次いで、「70歳を過ぎてから、食事の量や内容に変化はあったか」との質問には、60%が「あった」と回答し、具体的には、「食事の量が減った」(76%)、「野菜を中心に食べるようになった」(49%)、「肉をあまり食べなくなった」(25%)と続き、年齢とともに食欲や食事内容が変化する高齢者が少なくないことがわかった。
高齢者の「粗食」は、エネルギー量やたんぱく質の不足につながる場合もあるが、44%が「食事において粗食を心がけている」と回答。低栄養の説明をした上で、自分が当てはまると思うかを訊ねたところ、11%が「そう思う」と答えた。
高齢者に食事を提供している40~60代女性を対象とした調査では、71%が「同居する高齢者の食事メニューに気をつかっている」と回答し、「高齢者の食事は、介護や寝たきりなどのリスクにかかわると思うか」という質問でも、79%が「そう思う」と答えた。
一方で、低栄養という症状を知っている人は37%にとどまり、6割以上の家族は低栄養について理解が及んでいないことがわかった。
レポートには、調査結果を踏まえ、医師と管理栄養士によるアドバイスを掲載。医師からは、高齢者はひとりで買い物や食事の用意ができないなど生活能力の低下や病気、薬の副作用によっても低栄養に陥るので、改善のためには、「なぜ食事がすすまないのか」「なぜ栄養状態が悪いのか」といった要因を具体的に抽出する必要性が指摘された。
また、管理栄養士からのアドバイスでは、低栄養の予防や改善には、さまざまな食品を食べるように心がけ、食事量が少なくなっている場合は、食べたい時に少しずつ分けて食べる、補食で食べるなど、食事の時間にとらわれないことが大切と述べられている。
◎トレンド総研 レポート
http://www.trendsoken.com/report/health/2412/