<セミナーレポート>デイの多機能化時代が到来 弁当販売で低栄養の改善へ

福祉用具の卸事業や在宅介護サービス事業を手がける日本ケアサプライ。同社は今年度に入り、デイサービスの送迎車を利用した冷凍弁当の販売事業を新たにはじめた。
送迎車という“インフラ”を持つデイサービスのポテンシャルに着目し、高齢者の低栄養問題に切り込むその事業モデルとは。
8月2日から4日にかけて、東京ビックサイトで開催されたリハビリ介護産業展RE-CARE JAPANで、執行役員の小川一誠氏が講演を行った。

■サービスモデル
サービスの中身はシンプルだ。日本ケアサプライがデイサービスに冷凍弁当を卸し、デイサービスが販売を行う。送迎車に弁当を積み、自宅に着いたら弁当を渡すというもの。
宅配サービスのような“見守り代”としての配送料がかからないため、その分、味の追及が可能となった。また、冷凍のため、常温弁当のように食べる時間に制限がなく、自分のタイミングで喫食できる。おかずのみの提供だが、32種類にものぼる品揃えで、利用者は選ぶ楽しみも味わえる。

■弁当販売は、デイにもケアマネにもメリット大
デイサービスにとっても販売のメリットは大きい。
近年問題となっている高齢者の「低栄養」問題に対し、介護事業者としてより深く関わっていけるようになるからだ。
多くのデイサービスで体を動かす機能訓練が行われているが、低栄養状態の利用者では、いくら訓練をしても効果は上がらない。しかしこれまで多くの場合、介護スタッフが利用者の食生活まで関わることはなかった。
ところが、弁当販売を通じて栄養管理まで踏み込んでいけるようになれば、栄養状態の改善と機能訓練の効果が相乗的に見込めるようになる。週に何度も顔を合わせるスタッフが声かけをすれば、利用者の意識も高まり、低栄養が改善できる可能性が高いのだ。
ケアマネジャーにとっても、栄養管理をしてくれるデイサービスがあれば、大いに助かることだろう。

■デイの多機能化時代の到来
小川氏は、デイサービスは今後、機能訓練の場にととまらず、コンビニのように物やサービスを売る場へ移行していくと読んでいる。高齢者が近場で買い物をする機会が増えており、大手コンビニ3社の店舗数を合わせた数だけあるデイサービスは、高齢者の需要を満たすポテンシャルを秘めているというのだ。
小川氏は、ローソンを傘下におさめる三菱商事から出向している立場。説得力は大きい。

ところで、介護事業者が物やサービスを販売することについては、これまで明確な決まりがなかった。
しかし厚生労働省と同社が協議を重ねた末、デイサービスでの冷凍弁当の販売モデルは、介護保険外サービスとして認められることとなった。今年3月には、経済産業省などを含む3省共同で発行された「保険外サービス活用ガイドブック」にも収載された。
このモデルが浸透すれば、弁当だけでなくさまざまな物・サービスが取り扱われるようになり、デイサービスが多機能化する時代はすぐにでもやってくるだろう。

栄養状態に問題がある高齢者は少なくない。一方で、食事への満足度を重視する人が多いのも事実だ。今後は高齢化の進展に伴って、自治体の配食サービスの補助も打ち切られる方向に向かうだろう。
栄養管理に配慮しつつ、満足度の高い食事を考えるときに、これからは「デイサービス」が1つのキーワードになるかもしれない。

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