消費者安全調査委員会は、7月22日、ハンドル形電動車椅子の事故調査報告書を公表した。
主に歩行補助の必要性が高い高齢者の移動手段として使用されているハンドル形電動車椅子だが、使用中の重大事故が後を絶たず、2008年から2014年の7年間でも51件の死亡・重傷事が発生している。事故例として、ハンドル形電動車椅子に乗車して踏切内で立ち往生し、列車に衝突(死亡・70代)、下り坂を走行中に手動ブレーキをかけて転倒(重症・70代)などがある。
同委員会では、2012年から2014年までに発生した事故15件の現地調査や、ハンドル形電動車椅子の使用者を対象としたアンケートなど使用実態調査を実施し、事故原因の分析を行ってきた。
その結果、重大事故の発生リスクを減らすためには、アクセルレバーを軽く押すだけで発進する車椅子の設計の見直しや定期的な保守点検のほか、使用者を対象とする知識の習得や技能訓練などの必要性を指摘。また、高齢の使用者は、身体能力の低下が事故発生の要因になり得ることから、定期的な身体能力や運転適性の確認も重要とし、関係省庁に対応を求めた。さらに、介護保険制度で福祉用具としてレンタル利用するものに関しては、製造や使用環境などに関わる事業者や行政機関のほか、介護支援専門員などの関与も求めている。
◎消費者安全調査委員会 報告書
http://www.caa.go.jp/csic/action/pdf/9_houkoku_gaiyou.pdf