公益社団法人認知症の人と家族の会は、4月22日、厚生労働大臣あてに2015年の介護保険制度改定の撤回を求める要望書を提出した。
同会が、2015年介護保険制度・介護報酬改定の影響について会員の利用者や家族にアンケートを実施したところ、200を超える回答があり、「このまま負担が増えると生活が成り立たなくなる」「消費税を増税しながら、負担が増え、サービスも低下している」「今回の改定は介護を続ける気力さえ失わせる」など厳しい状況が伝わる声が寄せられた。
こうした意見から、「介護報酬引き下げによって認知症の人が多く利用する小規模事業所などの経営状況が悪化している」と分析。使い慣れた事業所が閉鎖して当惑している人や、利用料の2割への引き上げや補足給付の厳格化によって毎月の介護費が5~10万円増え、やむなく施設を退所せざるを得なかったという悲痛な声もあがっているという。
同会ではこれらの意見を受け、下記の項目を要望している。
・要支援の人に対する訪問介護、通所介護を介護保険から外すことを撤回し、引き続介護保険の給付の対象とする。
・利用料の2割負担(年金収入280万円以上)への引き上げを撤回する。
・特別養護老人ホーム入所対象者を要介護3以上に限定しない。
・施設入所者の食費・部屋代補助(補足給付)の要件を2015年7月以前に戻す。
◎認知症の人と家族の会 2015年の介護保険制度改定の撤回を求める要望書
http://www.alzheimer.or.jp/wp-content/uploads/2016/04/e73c11d7b0e17768062ae3271065443f.pdf