第一生命経済研究所がこのほど公開した、介護についてのアンケート調査において、現在介護をしている人の3割近くが、公的介護保険で受けられるサービスの内容やサービスを受けるための方法について知らないと回答したことが明らかになった。
調査は、同研究所が生活者の意識や行動の現状と変化をとらえることを目的に1995年より行っているもので、2015年は全国の18~69歳の男女(有効回答数 7,256人)を対象に行った。うち、「現在介護している」「以前に介護したことがある」は、全体の21.5%だった。
調査対象者全員に、介護サービスに関する不安について訊ねたところ、「サービスの利用料が高そう」が47.3%、次いで「満足のいくサービスが受けられるか不安である」が34.5%、「外部の人が家に入ることに抵抗感」が31.1%だった。
このうち「満足のいくサービスが受けられるか不安である」は、2001年の46.6%と比べて少なくなっているが、「サービスの利用料が高そう」は2001年が51.2%で、大きな差はない。また、「外部の人が家に入ることに抵抗感」は2001年が30.1%でほぼ変わっておらず、特に現在介護している人にその傾向が高く、介護保険の施行から15年たっても訪問介護サービスの利用に抵抗がある人が一定数いることがわかる。
公的介護保険制度の内容などについて訊ねた設問では、現在介護している人は、過去に介護経験がある人や介護経験がない人に比べて、「知っている」と回答した割合が高かった。しかし、現在介護している人でも、「知っている」と回答したのは、「公的介護保険で受けられるサービスの内容」が67.2%、「公的介護保険のサービスを受けるための方法」が68.9%、「公的介護保険の制度の仕組み」が67.7%で、いずれも7割に達しておらず、公的介護保険に関する情報が家族介護者にも十分には伝わっていないことがわかった。
◎第一生命保険『ライフデザイン白書 2015年』・介護の分野に関するデータ
http://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2015_060.pdf