健常だが肥満傾向にある65歳以上の男性は、低所得者ほど死亡リスクが高いことが、東海学園大学の中出美代准教授(健康栄養学部管理栄養学科)の研究により明らかになった。
研究は、14,930名の65歳以上の男女を対象に、4年間の追跡調査によって行われた。
体格指数(BMI)をもとに、死亡リスクが調べられた。その結果、BMI18.5未満の痩せている人が最も死亡リスクが高く、男性は、基準となるグループ(BMI23.0~24.9)の2.2倍、女性は1.4倍であった。
一方、BMIが25以上の肥満傾向の人は、基準グループと比べて男性が1.5倍、女性が0.8倍、死亡リスクが高かった。
ところが所得別にみると、肥満傾向の男性の死亡リスクは、高所得者は基準グループと同等であったのに対し、低所得者では2.0倍に高まることがわかった。このような違いは、痩せの人や女性ではみられなかったという。
研究者は、経済的に不利な男性は、健康管理や予防の機会が少なく、健康的な食物よりも安価で高カロリーの食べ物を選んで摂取するなど、健康行動を実践しづらい環境にあることが影響していると指摘している。
高齢者の健康は、肥満より痩せが問題であるが、所得などの社会経済的状態も考慮した施策も必要であるとしている。
本研究は、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(文部科学省)の助成を受けて行われた。
◎日本老年学的評価研究
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