厚生労働省が1月27日に取りまとめた認知症施策を推進する国家戦略「新オレンジプラン」では、2015年度の予算として、前年度より66億円多い、約161億円が確保された。
その主な内訳は次のとおりだ。
1)医療・介護専門職による認知症初期集中支援チームの配置・・・13億円(平成26年度予算額4.1億円)
2)医療・介護連携のコーディネーター(認知症地域支援推進員)の配置等・・・15億円(同12億円)
3)早期診断を行う認知症疾患医療センターの整備・・・6.4億円(同5.5億円)
4)生活支援コーディネーターの配置等・・・54億円(5億円)
5)認知症の予防・治療のための研究開発の推進・・・65億円(62億円)
前年度の予算額と比較して大幅に増えたのが1)4)である。これらは、新オレンジプランを推進していくうえでもポイントとなるものだ。
同省は、「新オレンジプランで推進する主なポイント」として次のようにまとめた。
■医療・介護等の連携による認知症の方への支援
・現在41市町村でモデル的に実施している、医療・介護専門職による認知症初期集中支援チームを、2018年度までにすべての市町村に配置。また、認知症の方の声に応え、2015年度から初期段階認知症のニーズ調査を実施。
・かかりつけ医向けの認知症対応力向上研修を、現在の目標の5万人から引き上げ、2017年度末までに6万人に実施。
・現在217市町村でモデル的に実施している連携のコーディネーター(認知症地域支援推進員)を2018年度までにすべての市町村に配置。
■認知症の予防・治療のための研究開発
・2020年頃までに、全国1万人規模の追跡調査を実施。認知症のリスクを高める因子(糖尿病等)やリスクを軽減させる因子(運動等)を明らかにし、効果的な予防法の確立を目指す。
・各省連携の「脳とこころの健康大国実現プロジェクト」に基づき、2020年頃までに、日本発の認知症根本治療薬の治験開始を目指す。
■認知症高齢者等にやさしい地域づくり
・認知症の方・家族を支援する認知症サポーターを2017年度末までに800万人養成。
・徘徊等に対応できる見守りネットワークの構築、詐欺など消費者被害の防止等を、省庁横断的に推進。
なお、予算161億円のなかには、消費者被害の防止といった他の事業と一体的に予算計上されているものは含まれていない。
◎厚生労働省
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