京都大学大学院の青山朋樹准教授、山田実准教授(リハビリテーション科学)および慶應義塾大学の高橋正樹准教授(システムデザイン工学)らは、11月26日、高齢者の転倒リスクを評価し、転倒予防の意識啓発を促す計測システムを開発したと発表した。
「STEP+(ステップ プラス)」の製品名で、日本シューターから、今月より全国の医療・介護施設などへ販売される(出荷は来年1月)。
転倒予防に取り組む風潮が高まる一方で、これまで転倒リスクを客観的に評価できる指標がなかった。
本システムは、被験者の足の動きから身体機能を計測し、測定結果を転倒リスクとの関連性に結び付けて評価する。
実際に地域在住高齢者152名を対象に行った本システムでの計測では、転倒の識別に有用であることが確認されたという。
医療・介護施設や、各区市町村の地域包括支援センターなどでの利用が見込まれそうだ。
【STEP +の製品詳細】
■製品構成
・測定器本体(①)
・ポール(2本)(②)
・マット(③)
・計測ソフト、測定結果表示ソフト
(PC・プリンタを導入者側で用意)
■測定方法
1)片足立ち測定
被測定者はマットの中心に立ち、左右それぞれの足を支持脚として片足立ちを実施し、その持続時間を計測する。2)の転倒リスク評価において、測定基準を満たすかどうかのスクリーニングにもこの機能を使用する。
2)運動器機能測定・転倒リスク評価
被測定者の体位に向き合うよう設置されたPC画面に表示される、前後・左右のいずれかの方向を示す矢印の向きに合わせて両足を移動するという課題と、表示される矢印と逆の方向に移動する課題を実施し、両課題での正答率と反応時間を元に運動器の機能を測定する。転倒リスクの評価結果のレポートがPCに出力される。
3)転倒予防トレーニング
2)の測定方法を、転倒予防につながるトレーニングに応用することも可能。