ユニ・チャームは、引き上げ負荷が軽減された紙パンツを使用した際の患者の動作や心理面の変化について大阪鉄道病院と共同で検証を行い、その結果を11月6日に発表した。
同社が以前行った調査によると、介護者の86%が、要介護者がトイレやポータブルトイレで排泄できるようになることを望む一方で、「ついつい」手助けしてしまう実態が明らかになっている。
その主な原因は、紙パンツを引き上げる際に、お尻にひっかかって要介護者が自分で引き上げられないことにあった。
そこで同社は、お尻にひっかかりにくい紙パンツを開発し、本人の引き上げ動作や心理面にどのような変化が出るか検証を行った。
その結果、新しい紙パンツは、以前の紙パンツと比べて自力で引き上げやすくなり、介助量が軽減された。また本人も「自分でできそう」という気持ちが向上したという。
研究は、回復期リハビリテーション病棟に入院する患者12名(平均71.8歳)を対象に行われ、同社の従来品と開発品が比較された。
検証は、紙パンツ引き上げ時における持ち替え回数、把持位置、引き上げ位置、時間を測定するとともに、トイレ後の本人・介助者へのアンケートとヒアリングが実施された。
検証では、以下のような効果が認められた。
■動作の変化として、自分で簡単に引き上げられて介助量も軽減した。
1) 持ち替え回数や把持位置の変化
・両手で上げる人(6名)は7.5回→6.2回と約1回減少、片手で上げる人(6名)は13.5回→11.3回と約2回減少した。
・把持位置を分析すると、特に紙パンツの横や後ろを引き上げる回数が減少した。
2) 紙パンツ位置の変化(FIM(※1)トイレ動作項目5点未満の人)
・お尻でひっかかっていたが、自分で腰付近まで片手で上げられた事例を確認した。
3) 立位バランスの変化(FIMトイレ動作項目5点未満の人)
・両手で上げる際、時間が軽減し、バランスを崩しにくくなった事例を確認した。
4) 介助者の介助量の変化(FIMトイレ動作項目5点未満の人)
・片手で上げる際、介助量が30.8%→22.5%と軽減し、自分で行えることが増えた。
■心理面の変化として、「自分でできそう」という気持ちが向上した。
特に、FIMトイレ動作項目が5点未満の片手で引き上げる人で変化が見られた。
・4名中2名で、本人の「はきやすさ」のスコアが良化。
・4名中2名で、「ややできそう」→「できそう」へと心理面が変化。
※1 FIM…機能的自立度評価表、Functional Independence Measureの略。日常の生活動作の自立度を示す指標で、計18項目を各7段階で点数化し評価する。
◎ユニ・チャーム
http://www.unicharm.co.jp/index.html