厚生労働省は、7月30日、第27回社会保障審議会介護保険部会を開催し、給付の在り方(施設、住まい)について議論が行われた。
それぞれまとめられた論点は以下のとおり。
(1)今後の介護保険施設の機能や在り方(「介護保険施設の整備方針」、「ユニット型個室と多床室」、「施設類型のあり方」)
(2)有料老人ホーム及び生活支援付き高齢者住宅の在り方
(3)低所得者への配慮(補足給付)の在り方
(4)療養病床再編及び施設の設置主体について
ここでは、最も議論に時間を割いた「今後の介護保険施設の機能や在り方」に関して、それぞれの論点のポイントと、各委員から上がった主な意見を紹介する。
「介護保険施設の整備方針に関する論点」
●特養の入所申込者が42.1万人いるなか、施設の緊急整備、在宅サービスの充実、高齢者住宅の救急促進が必要ではないか
●地域の実情に応じた整備をどのように進めていくか
●施設入所者画重度化し、医療ニーズが高まるなか、各施設の入所者増をどのように考えるか
「ユニット型個室と多床室に関する論点」
●ユニット施設を基本に整備を進める方針を再確認した上で、ユニット型個室の支援策についてどのように考えるか
●ユニット型個室の補足給付のあり方についてどのように考えるか
「施設類型のあり方に関する論点」
●老人保健施設の入所期間が長期化し、機能が特養化しているとの指摘があるなか、リハビリなどの在宅復帰支援機能が十分に果たされなくなっているのではないか
●介護保険施設類型によって医療サービスなどが規定され、外部からのサービス提供に制約があるが、柔軟に医療サービスなどを提供できるようにすべきではないか
●施設における医療サービスについては、内付けで行うべきか、外付けで行うことが可能か、再整理が必要ではないか。たとえば、特養の医師必置規制を緩和し、外部のかかりつけ医の診療を認めるなど
◎各施設の医療ニーズ医療ニーズ">
全国市長会介護保険対策特別委員会委員長(稲城市長)の石川良一委員
・特養の待機申込者は42万人といわれているが、一人で複数施設に申し込みを行う場合は多い。42万人という数字の根拠は整理されているのか。
日本看護協会副会長の井部俊子委員
・要介護によって何を整備すべきか、改めて見直すべきではないか
・施設における医療ニーズが高まっている一方、「必ず夜勤の看護職員がいる」は1.7%。オンコールで対応するが75.9%と多いが、医療ニーズを判断するという重要なことを医療職がやっていないというのは問題
全国老人保健施設協会会長の川合秀治委員
・各施設でリハビリが行われていないということは断じてないが、医療度の高い人の入居が増えるなか、リハビリが追いついていないということはある
・高齢化が進み、老老介護が増え、医療度の高い人が増えているなか、リハビリを行っていても、地域コミュニティが整っていないのに戻していいのか
UIゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン会長の河原四良委員
・3対1の配置基準については多くの方面から見直しを求める意見が出ているのに、実施できないのはなぜか。働いているものの過重労働にもつながっている
鈴鹿医療科学大学保健衛生学部医療福祉学科特任教授の葛原茂樹委員
・介護療養病床が減った場合、在宅のみで対応するのは無理。「○○難民」と呼ばれる人が増えるだろう
・(施設入所者の医療ニーズに対して)家族が行っていることをなぜ、職員ができないのか
・ユニット化については、プライバシー、アメニティの問題のほか、男女の申し込み比率の変動があることを考えると、有効利用という観点でも100%個室のほうがよい
立教大学コミュニティ福祉学部教授の橋本正明委員
・新設の施設だけではなく、従来の多床室をどうユニットにしていくかを考えなければならない。何らかの優遇措置や手当てを設けなければ難しいだろう
高齢社会をよくする女性の会理事の木間昭子委員
・有料老人ホームには都道府県による立ち入り審査があるのに、高専賃にはない。すべての高齢者施設に行政の立ち入り審査、業務改善命令を義務づけるべき
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