生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研では、健康効果があらためて見直されている「緑茶」について、注目されているポイントをまとめ、8月中旬に発表した。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「無形文化遺産」に、「和食:日本人の伝統的な食文化」が登録されたことをきっかけに、現在、日本の伝統的な食文化があらためて見直されている。中でも注目したいのが、和食に欠かせない飲み物であり、古くから健康にもよいと言われる「緑茶」。現在、小学校給食への緑茶の導入を新たに検討する地域が登場するなど、大きな関心が寄せられているほか、海外でも人気が急速に高まっている。
実際に、緑茶には人間の健康に役立つさまざまな機能性成分が含まれており、多様な効果・効能があることがわかっています。例えばその代表格である緑茶カテキン(ポリフェノールの一種であり、お茶の渋みの主成分)については、抗酸化作用、抗菌作用、抗インフルエンザ作用などさまざまな健康効果が報告されている。またその他にも、ここ数年でさまざまな新しい研究結果が発表されており、緑茶の健康効果にあらためて関心が集まっている。
今回は特に、認知症の予防にもつながるとみられる「認知機能の改善」にフォーカスし、最新の研究内容についてレポートする。
■認知機能の改善に緑茶が有効
日本人の4人に1人が65歳以上になった現在の超高齢化社会において、認知症高齢者の増加は深刻な社会問題となっている。認知症とは、加齢に伴う生理的な認知機能の変化ではなく、病的な認知機能の低下により、日常生活・社会生活を営むことが困難になった状態を指す。
日本人の認知症の原因となる疾患は、大きく、神経変性疾患、脳血管性認知症、その他に分類される。神経変性疾患の代表はアルツハイマー病で、認知症の原因疾患で1番多く、2番目に多いのが脳血管性認知症。この2つが認知症の原因の大半を占めている。
もともと、緑茶カテキンやテアニンなどの緑茶成分が神経の保護作用をもつことはいくつもの基礎研究で示されていましたが、2013年の「第54回 日本神経学会学術大会」にて発表された、伊藤園中央研究所・静岡県立大学薬学部 山田浩教授・社会福祉法人 白十字ホームの共同研究によると、ヒトを対象とした臨床試験においても、緑茶抹の摂取により「認知機能」低下の改善が確認されている。
同研究は、認知機能が低下気味の高齢者を対象としたもの。本人および家族から文書同意を得られたホーム入居中の方で、認知機能検査の点数が27点以下の高齢者(平均年齢 88歳、男性2名、女性10名)が、緑茶抹を1日2g(総カテキン量 約227mg)、3か月間摂取したところ、12名中8名に改善が見られた。さらに検査のうち、近時記憶(数分から数時間、数日など新しい記憶)を評価する項目で、特に顕著な改善が見られた。
この研究結果から、緑茶を継続的に飲用し、緑茶カテキンを摂ることで、認知機能改善などの効果が期待できることがわかった。普段の食事の中で、継続的に緑茶を飲用する日本文化に、あらためて注目が集まることが予想される。
◎トレンド総研
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