日清オイリオグループ株式会社は、2011年より定期的に行っている在宅介護事情調査の第7弾として、在宅介護を行っている家族100名を対象に「要介護者の介護食づくりに関する実態調査」を実施し、7月30日、その結果を発表した。
今回の調査により、「飲み込みやすい食事=細かく刻む」と誤解している人が多く、飲み込みに重要な「食塊」を理解が今後の課題であることがわかった。
【調査結果の概要】
■約80%が「食塊(しょくかい)」の意味を知らない
食事中に誤嚥した経験があると答えた方は全体の62%と半数以上だった。その一方で、スムースな飲み込みに重要な「食塊」の認知率を調査したところ、約80%が「食塊」の意味を理解していないことが分かった。
■とろみやあんの利用は27%
飲み込みやすい食事をつくる上で最も重視していることの1位は「やわらかく煮込む」(68%)、2位は「細かく刻む・つぶす」(65%)だった。これは、噛むことを助ける食事を意識したものであり、飲み込みやすさに重要な「食塊」をつくることを助ける工夫である「とろみをつけたり、あんをかける」は27%という結果だった。
さらに、飲み込みやすさには「食塊」をつくることが重要であると伝えたうえで、「食塊」をつくりやすい食事に必要だと思う工夫を調査しても、噛むことを助ける工夫である「細かく刻む」が71%と、最も多い結果となり、「食塊」をつくることを助ける工夫や、飲み込みやすくする工夫である「水分を多くする」(53%)、「ペーストや液体状にする」(47%)、「片栗粉やトロミ調整食品でとろみをつける」(46%)を上回った。
在宅介護で飲み込む機能が低下している要介護者への介護食づくりは、噛むことを助ける工夫に加えて、「食塊」をつくることを助ける工夫(「食塊」をつくった状態に近い食事)を意識することが、今後の課題になりそうだ。
■食べにくそうなもののトップは「肉類」
要介護者が食べにくそうにしている食材は「肉類」(68%)が最も多く、次いで「蓮根や大根などの根菜類」(46%)、「ほうれん草などの葉もの野菜」(46%)が上位を占めた。食べにくそうな食事に加えて、食事中の歯の状態についても調査したところ、要介護者の約90%が食事中に義歯(部分入れ歯、総入れ歯)を使用していた。
適正な「食塊」をつくるためには、第一段階として食べ物を噛み砕く必要がある。要介護者にとってこれらの食材が食べにくい理由の1つとして、「歯」の状態が関与している可能性が示唆された。「歯」の状態についても今後重視していく必要がある。
■「食塊(しょくかい)」とは
人は食事をする際に口の中で食べ物を噛み砕きながら唾液と混ぜ合わせ、ほほの筋肉や舌の絶妙な動きによって飲み込みやすい食べ物の塊(食塊)をつくる。この「食塊」をつくることでスムースに食べ物を飲み込むこと(嚥下)ができる。
飲み込む機能が低下している場合、お茶などの水分は、飲み込むタイミングより速く喉から気管へ流れてしまうことがあり注意が必要となる。一方、水分の少ないパサパサした食べ物は、口の中に張り付きやすく、細かく刻んだ食べ物は口の中でばらけやすいため、「食塊」をつくることが難しくなる。そのため、誤って気管に入る(誤嚥)可能性が高くなるため、飲み込む機能が低下している要介護者に対して「食塊」を意識した食事を提供することは、とても重要となる。
◎日清オイリオグループ
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